頑張れ!今平周吾

 先週はハワイ島に行っていたのでそのことでも書こうかと思っていたが、気が変わって今平周吾のことを書くことにした。今平周吾は28歳のプロゴルファーで2018年、2019年と日本ゴルフツアーの賞金王になっている。2018年はツアー1勝、2019年は2勝にもかかわらず賞金王になったのはほとんどの試合で上位(特に2位の回数が多い)にいたからで、その安定性は抜きんでている。この今平が今バッシングを受けているに近い状況にある。それは日本の賞金王として海外の試合に出た今平が予選落ちを続けているからだ。’日本の恥’とまで言う人も見かける。わたしはそんな今平にへこたれるなとエールを送りたい。

 

 今平は日本ツアーでの安定した試合ぶりからワールドランキングを上げてきて、現在では36位にいる。50位以内にいると世界のメジャートーナメントに出場できるわけだが、彼は昨年このメジャー4試合にすべて出てすべて予選落ちをした。こうした結果に終わったのは世界で今平だけだそうで、彼もそれを悔しく思い今年こそ海外でも活躍したいと語っていた。今年に入り米国ツアーのハワイアンオープン、欧州ツアーのドバイ・デザートクラシックに招待されたがどちらも100位以下で予選落ちをした。わたしもこの結果にはがっかりして、なぜ日本ではあんなに良いゴルフをする今平が海外ではこんな成績なのだろうかと考えていた。

 

 そんな彼には当然ながら風当たりが強い。’日本の賞金王がこんな成績で恥ずかしい’ とか ’ワールドランキングの決め方が正しくない。本当はもっと下なのだから海外の大きな試合などに出る資格はない’ とか ’日本のコースでしか通用しないゴルファー’ とか言われている。確かに現時点で彼よりワールドランキングが下にはガルシア、スピース、J.デイ、カブレラベロ、B.ワトソン等々のビッグネームが並んでいる。今平の力が彼らより上とは思えないからランキングが実力を反映していないという意見は理解できないわけではない。これはシステムの問題でありポイント付与の方法を改善する必要があると思う。しかし今の規定では日本ツアーで安定的な成績を収める今平が上位に来てしまうのだ。これは今平の責任ではない。そしてランキングの結果に基づいて今平が海外の有力トーナメントに出るのは当然のことだ。今平が良い結果を出していないからといって ’日本の恥だから出るな’ というのはおかしいだろう。

 

 日本の男子ゴルフツアーが米国や欧州のツアーよりレベルが低いのは事実だ。アジアツアーと同じくらいだと思うが、アジアツアーのほうが選手層が厚いから競争は激しい。だからといって日本選手にまるで力がないとか、日本ツアーのレベルがすごく低いとは言えないと思う。松山は別格としても、小平は米国PGAツアーで勝ったし、岩田もWGCであわや優勝というところまで行き、ペブルビーチでのATTプロアマでは3位に入った。チャンスがあれば、そして上手くプレー出来れば日本のトップなら海外で勝つチャンスはあると思う。日本ツアーで賞金ランキング2位のショーン・ノリスは今年欧州ツアーでいいところにいる。ただし日本中心でやっていると同じような環境の同じようなコースでやるので、ゴルフマネジメントが単調になってくる。だから多様な環境で行われる海外の試合では中々活躍できない。いろんなコースで自分のゴルフをするための経験が絶対的に不足している。

 

 今平にもそれが言えると思う。そして海外でも結果を出さなくてはという意識が過剰になりスコアに結びつかないように感じる。今平は19歳でプロになりそのゴルフは注目をされていたが、初勝利を挙げたのは7年後だった。いつ勝ってもおかしくないといわれていたがなかなか勝てなかった。前述のように賞金王になっても勝利数は少ない。このことは今平がここ一番で勝ちきれないことを示している。つまり勝負強くないのだ。その原因はパットにあるように思う。彼のプレーを見ているとトップに立って迎えた最終日のパットが良くないことに気づく。今日は強気のパットで行くのか堅く慎重なパットでいくのか自分でもはっきりしていないようだ。だから優勝を左右する大事なパットの時に強すぎたり、弱すぎたりすることが多い。ラインを消して真っすぐ目に打つのか、距離を合わせるのか明確になっておらず、なんとなく外してしまう。

 

 これは彼だけでなく多くの日本選手にみられる傾向だ。海外のトッププロはその飛距離に注目が行くが、パットとアプローチが物凄くうまい。日本のプロと最も差があるのはパットとアプローチだと思う。松山が中々次の勝利を手にできないのもパットのせいだと思う。もちろん日本のトッププロもそんなことは重々わかっているとは思うので、今平もここを改善してほしい。あとは経験と慣れだと思う。日本ツアーの国内の試合は4月までなく、その間にWGC、マスターズが行われるのでここで成績を残してくれたらとても嬉しい。大柄な外国選手の中にいても、クラブを短く持ったあのゴルフスタイルを貫いて存在感を示してほしい。きっとやれると思う。