リゾートトラストのテレビCMに感じる違和感

 リゾートトラストはその名の通りリゾート施設を開発し、それを利用する権利(会員権)を多くの人に販売することを主な業務としている会社だ。ゴルフ場の開発販売や、医療施設も手掛ける大企業で、女子プロゴルフの大会も支援している。

 

 この会社のリゾート施設の中でも、ベイコート、サンクチュアリコートというブランドの施設はとりわけ高級でその会員権も高額だ。これら施設のテレビCMはほとんどが外国人カップルがその豪華絢爛なホテルやレストランでポーズを決めることで高級感を演出している。あたかもそこは日本ではない外国で世界の富裕層が楽しむ場所であるかのようだ。しかしわたしはこのCMを見るたびに違和感を感じていた。外国人(白人)を使って豪華さを訴えるほどに、陳腐さや軽薄さを感じていたように思う。日本の富裕層はこうしたCMにひかれて、その施設に関心を持つのだろうか?多くの富裕層は本当にこれらのCMが良いと思うのだろうか? リゾートトラストがターゲットにしているのはこのCMに反応する人たちなのだろうか?

 

 こんなことを書くとお前はそこの高い会員権を買えないからひがんでいるのだろうと言われそうで、それはそれで間違いでもないのを認めても、やはり変だなという気持ちは消えない。何かずれているんじゃないかと感じてしまう。

 

 そんな中でサンクチュアリー琵琶湖のCMを見た。ここはベネチアン・モダン・リゾートとして訴求しているせいか、ゴンドラに乗った外国人カップルがホテルに向かっている。ゴンドラではイタリア人の船頭(ゴンドリエーレ)がカンツオーネを歌っている。(この船頭は日本在住のイタリア人オペラ歌手で俳優とのこと)これまでのCMの中でもとりわけ気合が入ったもので、リゾートトラストCMの集大成のように思える。白人カップルをゴンドラに乗せてカンツオーネを聞かせないとこの施設の良さが伝わらないのだろうかと思ってしまう。

 まるで40年ほど前のバブル時代の光景だ。日本の地価が異常に値上がりをして、銀行をはじめとした産業界が非常識な投資をして利益を上げ、それに群がる人たちがバカ騒ぎをしていた時代を彷彿させる。過去の経験や失敗に学んだ人なら、こんなCMは時代錯誤だと感じると思い、今更こうしたものは作らないと思うのだが。

 

 白人カップルを使い船頭にカンツオーネを歌わせるより、もっと良いやり方があると思う。白人を使って西洋風豪華さを訴えるのはそもそも時代に合わないし、西洋コンプレックスを感じさせる。それより日本と外国(西洋だけではない)の良さを併せ持ったリゾートをコンセプトに開発を行い、海外のものとは違うユニークさ訴求したほうがいいと思う。そう考えたら、わたしなら日本人歌手を使うし、演歌をうまく使ったらずっとオシャレ感が出るはずだ。氷川きよし石川さゆり八代亜紀なんていい。演歌が嫌なら若い時の沢田研二松任谷由実ハイファイセットなんかもいいなあ。きっとギャラは高いかもしれないが。

 

 わたしは第三者だから、これらの施設の会員権が売れるかどうかなどは関心がないし、このCMに惹かれた人が会員権を買うのは構わないのだが、こうした時代遅れのコンセプトのCMが流されるのを見るのは情けない気がする。そう思うのはわたしだけだろうか?この会社の経営陣や広告代理店の幹部はどう思っているのだろうか?