侮れないぜ、グアム

 グアムに行ってきた。4回目だが飽きたというより今回は新鮮な気持ちがした。最近の2回は真冬にゴルフをするためだったが、今回は子供と孫を連れた10人の旅行なので、もちろんゴルフは無しで普通にリゾートを楽しんだ。4人の孫がまだ2歳から5歳なので近場の海外としてグアムを選んだのだが、行ってみて捨てがたい良さがあるし、リゾートとしてのポテンシャルは中々のものがあると感じた。

 

 グアムは1990年ころまでは日本人の海外旅行先としては人気が高かったが、最近はすっかり人気が落ちて韓国人や中国人の旅行者が増えている。なぜ人気が落ちたのかと言えば日本人が豊かになったからだと思う。グアムよりハワイだし、アジアのリゾートもお洒落感は高いし、観光ならヨーロッパ、米国本土、オセアニア、南米、アフリカなど行きたいところが沢山ある。多くの日本人が実際そういう国々を訪れるようになった。そうするとグアムはお手軽すぎて、リッチ感が乏しいという評価になったのだと思う。だからグアムから日本人の足が遠のいた。

 

 しかし日本人が旺盛な好奇心を持って世界中を旅する時代はピークを過ぎているのではないだろうか。若い人たち(20台、30台)の海外へのあこがれは団塊の世代のそれと比べると全く違う。今の日本は世界でも珍しいくらい豊かで安全な社会になっている。海外に行くより日本にいたほうが楽しくて良いと考える人たちが増えている。またシニアの中にはすでに多くの外国を訪れた人も多いし、現役のミドルも転勤や出張で色々な国へ行くことが増えた。そうすると休暇で過ごす場所の選択も徐々に変わってくると思う。もちろんまだ海外に行き足りないと思う人たちはこれからも世界各地を訪れるだろうが、一方で手軽に家族でリゾートに行きたいとか、日本の冬に暖かいところでのんびりしたいという希望を持つ人たちが増えてくると思う。そうした人たちにはグアムは捨てがたい良さを持っている。

 

 グアムの強みはなんといっても近さだ。成田から3時間半で行ける海外リゾートだ。日本人旅行客で発展したところだから日本人には過ごしやすく治安も良い。1年中暖かくマリンスポーツが楽しめる。ホテルも設備が整っている。一方で日本人に人気のハワイに比べると観光スポットに乏しいし、湿度が高く快適感が低いという弱点はある。しかし日本からハワイに行くと夜の飛行機でほとんど寝る間もない内に着くうえに、パック旅行だとホテルにも入れないし、眠い目をこすっていきたくもない観光をする。ハワイに行くならパック旅行を避けてホテルやコンドミニアムを前日から予約しておいてすぐにチェックインするしかこれを避ける方法はない。米国本土の帰りに寄るのもいい方法だが、それはハワイ旅行とはいえないだろう。

 

 グアムには昼間の飛行機で往復できる。行きは朝の9時半発で帰りは現地の4時発だ。ハワイとは体への負担が全く違う。4日間の日程でも1日目から4日目まで楽しめる。最終日も観光やゴルフをすることが可能だ。ハワイ旅行で同じように楽しもうとすると6日間は必要だろう。もちろんグアムが他より全然良いという気はない。ハワイも楽しいし、オーストラリアやニュージーランドも見どころが沢山ある。ゴルフリゾートも素晴らしいものがある。しかしこの20年くらい人気が落ちてきたグアムはまたそれなりに人気を回復して、一定のポジションを維持すると思う。成熟した日本人の間ではリッチ感がないといった評価は薄らいでいくだろう。特に小さな子供を持つファミリーやゴルフや避寒目的のシニアには選ばれる場所になると思う。望みを言えば海沿いで買い物に便利な場所に1週間以上滞在するためのコンドミニアムが増えたら良いのだが。

 

 リゾート地としてグアムはまだまだいけると思うので、お金に余裕のある人はグアムの事業に投資してもいいような気がする。もっともグアムのもう一つの側面、米国の軍事拠点だということは忘れてはならないだろう。中国の勢力拡大行動や北朝鮮の核開発に伴う東アジアの国際的緊張の際にグアムが果たす役割は大きいと思うし、それはリゾートとは相いれないからだ。