どうでもいいけど、いいかげんにしたら

 67歳になる。まだひよっこかもしれないが、このくらい生きてくるといろんな人に会い、いろんな出来事に遭遇する。そして色々なことを思う。まあ大したことは考えないのだが、真面目なことも下らんことも、そしてまだいやらしいことも考える。人間はいくつになっても変わらないし、栴檀は双葉より芳しは正しい。もっともわたしの場合双葉より芳しいというのは適切ではなく、幼少からxxxでここには芳しい以外の怪しい言葉なら何を入れても良い。みうらじゅんさんなら’いやらしい’に決まっているが、わたしも大差ない。

 いろんな人に会うと書いたが本当に一人一人の人生はドラマのようだと思う。多くの大人の男は多くを語らないが、子供の頃に親が離婚したとか、障害のある子供がいるとか、妻が早くなくなったとか、妻が若年認知症になったとか、夫婦が続けてがんになったとか、そんなことを経験しながら何事もなかったように、仕事をし、酒を飲み、ゴルフをする人が結構いる。そんな事情も知らずに付き合っていると、何かの折にその人の人生の一つの側面を知る。驚き、無頓着にいろんな話題、その人にとって楽しくはないはずのことを持ちだしていた自分に恥じ入る。それぞれの事情を持ちながら淡々と時には情熱的に生きる人たちの強さに感動し、尊敬の念を抱く。それに比べると自らの人生はまったく平凡で、それゆえに穏やかで幸せだが人間的な強さが乏しいとつくづく感じる。

 平凡に生きて死んでゆく人たちには語るに足る経験をし、強くまっすぐな心を持った人が結構いるのだ。彼らは多くを語らないし、自らを誇ることもない。それに比べると政治家とか芸能人の多くは自分の手柄を誇り、他人を踏み台にすることをいとわない。恥を知れと思うのだが、どうもそんなことを気にしない人たちがこうした職業になりたがるようだ。政治家などはそれでいいのかと思うのだが、そうでない人を探すのが難しいくらいだ。政治家も芸能人も二代目、三代目がやるようになるとその質はますます劣化していくと感じる。

 安倍総理もこれではちょっとダメかなと思っていると、トランプや金正恩が馬鹿な言動をするのが伝えられてまだましかなと思ってしまう。トランプに対して金正恩とは最悪の組み合わせで戦争の恐怖が実感として感じられる。安倍首相は厳しい経済的制裁を加えることで金正恩の核開発を止めさせると言っているが、そんなことは鼻から無理なのはみんな分かっていたはずだ。核疑惑でフセインを攻撃した米国がなぜ金正恩を殺害すべく北朝鮮を攻撃しないのか不思議に思うが、それによっておこる同盟国の被害の程度が分からないのかもしれない。日本が被る被害も莫大なものになるリスクがあるが、そしてそんなことは起こって欲しくないが、対話によって平和に解決しようなどと能天気なことを言っている段階ではないような気がする。

 自らの権力基盤を固めるために身内を殺害することをいとわない金正恩や、ロシアと組んでねつ造した情報を流して対立候補を蹴落として大統領になったトランプ、人間として最低の男たちが権力を握っていることに暗い気持ちになる。恐らくトランプはそのうちに辞めることになるだろうが、金正恩を辞めさせるのは簡単ではない。北朝鮮を追い詰めるにはロシアと中国の協力が必要と言われているが、経済的封鎖より中国の特殊部隊を使った強硬な作戦が本当に必要だと思う。米国がやるより中国がやった方が成功するような気がする。

 年を取ってくると自分の健康に関心が行き、残された時間を考えてしまうので、実は北朝鮮のことなどどうでもよい気になる。しかし守るべきは金王朝やトランプ政権ではなくて、声高な主張をしない多くの善良な人々だと思うと、市民が犠牲になるリスクを取ってでも早く強硬な作戦に出る必要性を感じてしまう。