危ない世の中はコロナのせいだけではない

 コロナで生活が変わった。以前のように気の向くまま外出をし、買い物や食事を楽しむことは出来ない。出かけるときはマスクをし、できるだけ公共交通機関を使わず、用を済ませたら直ちに帰宅して手洗いを念入りに行う。旅行も近場に一泊ぐらいで観光地には行かず、ゴルフをするくらいだ。海外旅行などは飛行機に乗れないし夢のまた夢だ。これから当分は(何年になるかは分からない)慎重に行動し、コロナ感染を避ける生活が普通になってゆく。

 

 しかし冷静に考えてみると、油断してはいけないという生活はコロナよりだいぶ前から起こっていたと思う。年寄りを狙ったオレオレ詐欺が流行り大金をとられる高齢者が多数出て、それに注意を促すと詐欺の手口は年々巧妙化して簡単には見破りにくくなっていった。今でも騙される人は絶えない。高齢化社会核家族化が進む中で、現金の出し入れがATMで行われることがこうした詐欺が増えた原因だと考えると、やはりこれも社会の現状を反映しているのだ。

 

 わたし個人でいうと危ういと感じるのは偽メールだ。特にアマゾンの名をかたったメールは巧妙なのが多い。今日アマゾンの名で送られてきたのは’アカウントの更新ができません’というやつだ。この2~3日間に孫達へのちょっとしたギフトを買ったうえ、アマゾンカードに入会したりした直後だったので、それに関するメールかと思い疑わずに読んでいた。終わりの方で’更新の手続きをしないと、あなたのアカウントは閉鎖されます’というところでようやく怪しいと気づいた。

 

 ネットが発達し、その便利さへの依存が高まるほど、誤情報や偽メールも増え、騙されるリスクも高くなる。10年前と比べるとはるかに便利になったが危険にもなった。(一説によるとこの20年で人が得る情報は10倍になったそうだ)トランプ大統領が愛用するツイッターも様々な情報が飛び交う場になっている。問題は多くの人がこうした情報の真偽を判断する知識や術を持っていないことだ。結果的に自分が信じたいか、理解できる情報を正しいと考えてしまうリスクが高まる。注意しなくてはならないのはコロナだけではないのだ。

 

 こう考えるとコロナ対策として専門家が示した「新しい生活様式」についての見方も変わってくる。例えば買い物は通販を利用し、電子決済をすすめているが、これは詐欺師から見るとカモを増やしてくれるように感じるかもしれない。特にこの新しい生活様式が、これまで通販や電子決済に積極的ではなかった人に対するメッセージだとすると、ネットのリスクに疎く騙されやすい人が増えることになる。こうした生活様式への移行が必要なことは分かるが、同時にネット詐欺への注意を示さないとまずいと思う。こういう時こそ政府が必要な注意を促すべきで、なんでも専門家に丸投げでは怠慢と言われても仕方ないだろう。