全米プロゴルフ松山惜敗

 今朝の五時からゴルネットワークとフジテレビを交互に見て松山の応援をした。前半の9ホールをトップで終えて、10番も長いバーディパットを入れた時は今日は勝つだろうと思った。しかしその後の3連続ボギーを2連続バーディで取り返しつつあった16番で短いパーパットを外して勝負あったという感じになった。今まで見たゴルフのメジャー競技で最も興奮し、最終日の後半まで本当に勝つだろうと思ってTVにかじりついたのは初めてのことだ。2位になった全米オープンよりはるかに印象深い戦いだった。松山にはお疲れさまとしかいうほかはない。

 試合後のインタビューで号泣した松山の姿に多くのファンが感動したとコメントをしていたがわたしも同感だ。後半の9ホールは自分がゴルフをしているかのようにショット、パットごとに胃が痛くなるような痺れるような感覚を味わった。実際にプレーをしていた松山はどうだったのか想像もつかない。死に物狂いの努力を重ね、いろんなものを背負ってきた25歳の才能あふれる青年が、緊張の糸が切れた瞬間に抑えてきた感情があふれてきたように見えた。見ていた人たちが感動したのは松山がここに来るまでにどれほど頑張ってきたのかが、あの涙から垣間見えたからだと思う。世界でトップレベルの力があるのは誰もが認めている。後は結果だけだ。メジャーに勝つには実力、努力以外に運などの要素がそろわないと難しいのだろう。神の子といわれたセルヒオ・ガルシアだって37歳で初めてメジャーに勝った。松山に早くその日が来ることを祈るだけだ。

 今回の全米プロはゴルフネットワークとフジテレビの2局が中継をした。フジテレビは松山の優勝可能性が高いと判断したことで急遽参入した。従ってその放送もコアなゴルフファンというよりゴルフに詳しくない人にも分かるような中継になっていた。メジャーとはどんなに凄い戦いかということをしつこく説明したり、わたし達ゴルフフリークから見るとワイドショー的な感じのチョットなという中継だった。また解説の戸張捷がいかにもゴルフ評論家的だったのに加えて、ラウンドレポーター富永浩プロが松山と信頼関係がないような感じで上手く話を聞けない様子がありマイナス要素だった。

 その点ゴルフネットワークは放送時間も長く、後半は佐藤信人プロとゲスト(矢野東プロ)がスタジオでの解説をし、プロキャディの杉澤伸章がラウンドレポートをして、ゴルフファンが興味を持つ点をよく理解しながら中継をしていた。また杉澤は全米オープンなどからずっと松山をフォローしてきた上に性格的に明るく気遣いがあり、松山と信頼関係が出来ているようで毎ラウンド後のインタビューも面白く仕上がってた。だから最終日の試合後インタビューで松山が感情を抑えきれなくなったのは、信頼している杉澤が’テレビで応援している日本のファンも、勝てなかったがこんなすごい試合をした松山にとって今日が本当のメジャー勝利の幕開けなんだと思っているはずだ’という主旨のことを言った時だった。選手との信頼関係の大切さを教えてくれたような杉澤のインタビューだった。

 放送の時間や富永のインタビューなどでフジの姿勢には多くの苦情が寄せられたということだがCSが見れるならゴルフネットワークと地上波を交互に見るのが良い。放送の内容や話はゴルフネットワークの方がはるかに面白いが、映像はアメリカの放送なので日本人を中心に映すわけではない点が少し物足りない。一方でフジなどの地上波とBSは、放送姿勢はチョットというところだが、自社のカメラを持っているため日本人選手の画像が多い。だから両方で見たほうが良いと思う。また富永のインタビューがひどいという批判が多かったが、彼がゴルフネットワークなどでしている普段のPGAの解説などは決して悪いものではないし米国での経験も豊富で示唆に富んだ指摘もするので、これはたんに松山との信頼関係の問題だと思う。そう考えれば、彼をラウンドレポーターに起用したフジの問題だといえる。

いずれにしろ松山にはゆっくり休んでプレーオフシリーズで頑張ってほしい。