テレビで聴いた音楽

 今月は授業があるので通常の月よりは少し勤勉だ。といってもゴルフの合間に教えに行くという感じで、基本的な怠惰さは変わらず典型的な退職者の生活だ。それ以外の時は何をしてるかというとテレビでゴルフか野球、たまにサッカーとボクシングを見ている。スポーツにいいのがないとチャンネルを渡り歩いて映画や音楽番組を見る。だから映画も音楽も行き当たりばったりで見るので、最初から見ることはあまりなくたまたま見たのがとても面白いと最後まで見る感じだ。このやり方は映画だとまずいこともあるが音楽だと特に不便はない。とはいっても途中からだと誰が演奏しているのかなどの基本的な情報がわからないことも多く、やはり不便なのだがそれも気にしないというこだわりのなさだ。テレビの見方まで怠惰ですみませんというところです。 

 最近見た(聴いたので)面白かったのは「ナニワ・サリバンショー〜感度サイコー」、「The Boom・ファイナルコンサート」、「ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ ライブ」だ。最初のはCSで後の二つはWOWOWで見た。「ナニワ・サリバンショー」は忌野清志郎のコンサートを映画仕立てにしたしたもので、途中から見たので映画としてどんな仕組みになっていたのかはよく分からなかったが、コンサートとしてはとても面白く楽しめた。

 過去三回のコンサートから抜粋したものを一つのコンサートにしてそれを解説する映画になっていたようだが、その辺の面白さはよくわからなかった。それよりも特筆すべきはそのゲスト陣の素晴らしさと忌野清志郎とのコラボだ。わたしがわかった範囲でもトータス松本竹中直人細野晴臣坂本冬美(この二人は忌野を加えたHISというグループで参加している)、中村獅童布袋寅泰矢野顕子、ゆず、宮藤官九郎清水ミチコ松たか子間寛平(この人は最後にマラソンで入場しステージに立った)などがいる。この人たち(ほかにもまだいたがよく分からないので省略します)と忌野の共演が素晴らしい。今更ながら忌野清志郎のパワーと求心力には驚いてしまう。これは忌野が死去した2年後に封切られたものだ。タイトルのナニワ・サリバンショーは明らかに米国の人気音楽番組だったエド・サリバンショーをもじったものだ。

 ブーム(The Boom)のファイナルコンサートもたまたま見たのだがすっかり魅入られてしまった。恥ずかしいことにチャンネルを回した時はバンドが誰だか分からずに、番組表を確認してわかった次第だ。ブームも島唄を歌ったバンドくらいの認識しかないから、あらためて歌を聞いてとても上手いのと、曲が良いのに驚いた。わたしの30代から50代は仕事中心だったからその間(1980-2005くらい)に流行ったもの(これは音楽に限らない)には全く疎いのだ。頭が良く体力も気力もある人は、仕事をして、ゴルフをして、その他の楽しみを持つことが出来たのだろうが、わたしのような凡人だと仕事で手一杯で、休みは家族で旅行くらいしかできなかった。だからブームもこんなバンドでこんな曲を演奏するとは知らなかった。3人の女性コーラスの踊りも素敵で見るコンサートとしても感心した。

 そして最後はロドリーゴ・イ・ガブリエーラという男女のギターデュオである。これも今回初めて知ったのだが、この二人はとても有名で日本でも何度か公演しているそうだ。そんなことを知らないわたしは演奏を聴いたとたん度肝を抜かれて、「世界は広い、知らない奴でこんなにうまいのがいる」などと思ったが、まあ無知というのは困ったもので田舎者丸出しだ。アコースティックギターのデュオだがロドリーゴ(男)が主にリードギターを弾き、ガブリエーラ(女)が主にリズムギターを担当する。特に驚くのがリズムギターでギターを叩きながらリズムを刻む。フラメンコギターのようでもあるが、感じパワフルなラテンロックのようだ。リードギターのテクニックも素晴らしくアコースティックギター2本で観客を熱狂させてしまう。元々はメキシコでロックバンドをやっていたそうだが、アイルランドのダブリンに移住して音楽をやっているうちに認められたのだという。聴いて損はないおすすめバンドだ。