ボヘミアン・ラプソディを観てきた

 今話題の映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観てきた。こう書くととてもミーハーな感じがして嫌なのだけれども、見たのは事実だからこう書くしかない。この気持ちは、特別なファンではなくてもクイーンを前から聴いてきた人に共通するものだろう。この映画の評価が分かれるのも同じところから出ていると思う。

 映画「ボヘミアン・ラプソディ」が評判になっていることは聞いていたが、妻の友達(おおよそクイーンなど聴いたことのないおばちゃんたちが)見に行くとか見たというのを聞いて、心底驚いていた。これはもう社会現象に近いのではないかといった気分である。映画に描かれたエピソードなどはチョットした音楽ファンなら知っていることだし、フレディ・マーキュリーの人生をそんなに単純化しないでくれという気持ちが、昔から彼の歌声に痺れその曲を聴いてきた人たちには強いからこんな形での人気拡大には違和感を覚えるのだ。

 だからといって映画が不出来だったわけではない。映画にしたらこうなるのだろうというのはよく分かる。それでもこれが自分の音楽の在り方を貫いた歌手・バンドの人生とか軌跡というとらえ方をされると少し違うだろうと言いたくなるが、クイーンの知識などあまりない人に映画を見るべきかどうか訊かれたら、見るべきだと答えるだろう。映画で流れる音楽は基本的にはクイーンのものだからで、それを聴くだけでも価値はある。フレディ・マーキュリーの歌の素晴らしさが心を揺さぶる。

 泣いたという人が多かったので少し冷ややかな気持ちで見ていた。最後のライブエイドでの演奏シーンでフレディが何曲目かに「ボヘミアン・ラプソディ」を歌いだすのだが、オリジナルの曲にある導入部分をとばしていきなりサビの‘Mama,just killed a man`から入った。このMamaの一声を聴いて涙が出てきてしまった。フレディの歌は凄い。

 おじさんおばさんだけではなく、若い人にも見てもらいたいというか、クイーンを知ってもらいたい気持ちになった。その目的は十分に果たしている映画だ。