松山英樹インタビュー PGATOUR.COM

松山は今年の第二戦のソニーオープンに出場し6人の日本人プレーヤーでただ一人予選を通過したが、3日目のカットに会い最終日に進めなかった。過去も予選落ちをしていた同大会は相性が悪いというか、コースが合わないようだが、本人は「下手なだけです」とのコメントを残したそうだ。
 
 前回のブログで、松山にはコミュニケーション能力を改善して欲しいと書いたが、ソニーオープンの直前の1月13日彼はPGATOUR.COMのインタビューを受けた。そこではとても率直にUSPGAで戦う心境を話している。日本のゴルフ記事では分からない彼の一面が見られるので一部を紹介したい。

 インタビューは主に4つの点について聞いている。どのようにゴルフを始めたのか、コーチにつかないことについて、2015年の目標は、ゴルフをして世界を飛び回ることについて、である。

Q;あなたが成長する過程で好きなゴルファーは誰だったのですか?
A;タイガーです。テレビでゴルフをたくさん見ました。トッププレーヤーはみんな好きになったのですが、なんといってもタイガーです。彼は僕の中ではナンバーワンです。

Q;あなたはまだ22歳でプロゴルファーとしての経験は2年もありません。テレビで見ていた選手たちとプレーする時には見上げるような気持ちになりますか、それとも同じ仲間として見ていますか?
A;練習場や朝食の時彼らを見るといつも見上げる感じですね。スターへのあこがれを持っています。でも同じ組になって一番のティーグラウンドに立てば、そんな気持ちはどこかに行ってしまい競争相手にすぎません。

Q;2015年の最初の5週間で4試合に出る予定ですが、何故そんなに過密なスケジュールを組んでいるのですか?
A;僕はまだ若いし、エネルギーに満ちています。この舞台でいい成績を残せるようにゴルフをより良いものにしていかなくてはならないので、毎週でも試合に出たいのです。でも毎週試合に出るのはおそらく賢明なことではないですね。

Q;あなたはPGAツアーでも最も安定したゴルファーの一人ですが、コーチには付いていません。自分でやってゆくことの利点はなんですか?
A;僕は誰かにこれがベストの方法だよと言ってもらうよりも、自分で何かを見つけることを、思いのままに捜し求めて違うことを試し、何が自分に最もあっているかを見出すことをいつも楽しんできました。今のところは専属のコーチを持たないことで楽しい経験を積んでいます。

これが自分に合っているのです。でも将来はコーチが必要な時が出てくると思います。その時は何人かのコーチと話をしてゲームのやり方やスイングについて自分と同じ考え方をする人を見つけたいと思っています。

Q;スイングをどのように学習するのですか?本を読むのか、ビデオを見るのか、練習場でほかのプレーヤーを見るのか、どうなんですか?
A;自分のスイングをビデオで見て毎日チェックします。

Q;真似をしたいと思うスイングはありますか?
A;PGAの選手たちはみんな素晴らしいスイングをしているし、それぞれの長所を持っています。でも僕にとってはタイガーがいつもお手本でした。彼のクラブの振り方を見て真似をしようとしてきました。

Q;2015年に改善したいと思う点が具体的にありますか?
A;昨シーズンは長いクラブに苦しんできました。だから特にその点をもっと良くしたいと努力しています。グリーン周りの向上については永遠の課題で、終わることはありません。

この後に子供の頃に父に教わったことや、小さい頃からゴルフが好きで
将来もずっと好きでいられれば良いことを語っている。また練習についての考えも述べている。そして今年の目標についてあらためて聞かれて以下のように答えている。

A;試合に勝つことです。メジャーに勝つことです。そしてFedExCupで上位30に入ることです。

Q;メジャーで最も相性がいいのはどの試合ですか?
A;よく分かりませんが、マスターズは僕が初めて出たメジャーだし、タイガーのメジャー初勝利はオーガスタでした。もちろん僕はタイガーの後を追っていきたいので、出来れば僕のメジャー初勝利もマスターズならいいなと思います。

Q;2011年にアマチュアとして初めてオーガスタに行った時はどんな感じでしたか?
A;言葉では言えません。「今ここにいるんだ。オーガスタでプレーしているんだ」という感じでした。

それからアジア太平洋のアマチュア選手権について語った後で、ツアーでの生活について聞かれている。

Q;旅が続く生活をどう思いますか?あなたはPGAの試合だけではなく日本の試合にも出ていますね。
A;もちろん誰にとっても大変なことです。でも旅はPGAのプロゴルファーにとっては避けられないことです。やる前から分かっていたことだし、やるしかないという感じです。

Q;世界を回っていて何か気に入ったものはありますか?
A;カナディアン・オープンに出た時にナイアガラの滝に行きました。忘れられない光景でした。

Q;ホテルの部屋では何をしているのですか?
A;スマホで遊んでいます。Lineやキャンディ・クラッシュ、野球ゲームなどですね。野球は見るのも好きです。特に日本人選手がいるチームは見るようにしています。

Q;PGAで勝った後でダンロップフェニックスに出るために日本に帰った時はどんなでしたか?
A;メモリアルで勝った後に日本での試合に出たのですが、観客の数が以前より多かったように思います。でも見に来てくれた人たちのために最高のプレーをしなくてはならないという気持ちでした。プレッシャーというよりも出来る限り最高のプレーをして、応援に来てくれた人たちへ感謝の気持ちを表そうと考えました。

Q;スピースと4日間同じ組でしたね。彼と何か共通点があると思いましたか?
A;様々な点で彼とプレーするのは楽しかったです。彼とは同い年なんです。試合で自分と共通点があるプレーヤーと一緒に回ることが出来るなんてとても嬉しいことでした。4日間同じ組で回ったのもめったにないことだし、二人共良いプレーをして戦っていました。最終ホールまで競り合って、すごい経験でした。

僕の英語はまだ彼とたくさん話をできるレベルではありません。いつかその内彼ともっとよく知り合える機会があればいいなと思います。

Q;英語の学習についてはどんな状況ですか?
A;英語を聴くことは慣れ始めているように思います。以前より多くの言葉が分かるようになりました。意味はわからなくても、言葉を聞き取ることはできるので調べることができます。話すのはまだまだです。

米国に家がないので試合がないときはどうしてるのかとの質問には、西海岸にいる時は日本料理店もあり、練習コースもあるロスアンジェルスに行く。そうでない時は早めに次の試合のコースに行って練習すると答えている。最後も以下のようにゴルフ以外の質問である。

Q;他に何か楽しみはないのですか?
A;家に帰ったときは釣りをします。

Q;これまでに釣った最高のやつは何ですか?
A;10歳の時5キロ半のハマチを釣りました。5キロ半は大したことはないのですが、10歳にはとても大きかったのです。お祖父さんと釣りに行った最高の思い出です。その後もっと大きいのを釣ったかもしれませんが、忘れられないのはこのハマチです。

どうだろうか。とても率直に誠実に答えているようだし、日本のゴルフ記事では知りえないことが色々と話されている。インタビュアーも松山の人となりを読者に伝えようと多岐にわたる質問をしているのが良いようだ。もちろん通訳を介してのインタビューだが、これを読むと長いインタビューなどは信頼のおける通訳を介したほうが良いとつくづく思う。松山にはボブ・ターナー(Bob Turner)という専属の通訳がいるので、これも彼が訳したのだと思うが素晴らしい英語(当たり前の話かもしれないが)である。ちなみに日本語で松山がどんな表現を用いたのかはわからない。

読者がネットに様々な書き込みをしているが、ほとんどの人が好印象を持ったようだ。彼を「日本のローリー・マッキロイ」(Japanese Rory)とある人が書くと「いやそうじゃない。彼はどちらかといえば日本のババ・ワトソンだ」なとどいう人が現れたり中々楽しい。日本でも松山のこうした一面がもっと伝われば彼の好感度も上がるはずだ。

ではここまで、錦織の全豪オープン3回戦が始まるのでさあ見よう。