2013年に活躍したプロゴルファー達

 日本のプロゴルフツアーの2013年シーズンが終わった。男子は松山の独走状態で、プロ1年目に国内だけでなく海外の試合(メジャーでも)好成績をあげたのは本当にすごいと思う。来年は米国のPGAツアーに参戦するが、彼のゴルフスタイルや性格を考えると、一年目からかなり活躍しそうな気がする。勝つかどうかは運もあるので分からないが、上位争いをする試合もあるだろう。

 石川遼は2013年はUSPGAに参戦したが満足のいく成績は上げられなかった。しかし下部ツアーとの入れ替え戦で上位に入り、来年もかなりのPGAの試合に出られる資格を掴んだ。相変わらずショットの安定性には欠けるが、入れ替え戦や2014シーズンの初めの試合の戦いぶりを見ていると、アメリカに行ったばかりの頃とは戦い方が変わった印象がある。
 コースマネジメントが大人になったというか、変な気負いが減って普通の精神状態で試合に臨んでいるように感じる。世界での自分の本当のポジションが分かって、一つずつ階段を上がろうとしているようだ。変な取り巻きの声に惑わされずに今の姿勢を貫けば好成績を上げる可能性を感じる。パット次第のところがある。意外性というか、スター性を持った選手なので、あっと驚く活躍をするかもしれない。

 今田竜二は今年も不調で後半は日本でやっていたがよい成績は上げられなかった。最後のカシオ・ワールドで少し復調の気配を見せていたので、一月のハワイの大会で頑張って欲しいと思う。PGAでは出場できる試合も限られるだろうが、ドットコム・ツアーで実績を上げてPGAに復帰してほしい。彼が戻って松山、石川、今田の三人になればベテランと若手の組み合わせでPGAでの彼らの活躍の可能性が一層高まると思う。

 日本の男子ゴルファーでもう一人上げるとすれば宮里優作だ。最終戦のゴルフ日本シリーズでの初優勝は見ているものを感動させた。優勝者と賞金ランキング上位者しか出場できないこの試合に、前週のカシオ・ワールドの成績で滑り込んだ宮里がトップを走り続けながらも、最終日にバタバタして追いつかれそうになるのをやっと振り切った。
 試合展開もさることながら、最強の学生ゴルファーとしてプロの試合でも上位にいた宮里が、プロ入り後10年も勝てなかったのは謎と言われていた。後輩の池田や藤本が勝利を挙げ、妹の藍はアメリカで何勝も勝っていることで、とても辛かったろうと思う。それにめげずに努力を続け、日本のメジャー大会で初優勝した。多くのファンが応援していたので、あの劇的な勝利に多くの人が感動したのだ。来年は松山が不在の日本ゴルフ界の中心として活躍するだろう。

 宮里優作を見ていると別のスポーツ選手を思い出してしまう。ゴルフではなく相撲だ。稀勢の里だ。上位力士にはめっぽう強いが下位力士に取りこぼしをして優勝出来ない。以前は朝青竜、今は白鵬という他の誰も勝てない横綱を倒せる破壊力を持っていて、久しぶりの日本人横綱と期待されているが、優勝まで行かない。今回宮里が勝ったように来年は稀勢の里にも勝って欲しい。

 男子の賞金ランキングは2位がキム・ヒュン・スンで5位にもSJパクが入り、韓国勢は女性だけでなく強い。しかし日本人ゴルファーの新鋭も活躍し、川村が11位、小平が12位となり、強い若手が出てきていると感じる。これに藤田が復活すれば日本の男子ゴルフツアーもなかなか面白いと思う。韓国以外でも、中国、タイ、マレーシアなどの選手が昔からのオーストラリアに加えて頑張っているので、もっと国際化を進め、大きな大会はアメリカ、ヨーロッパ、アジアの大会と提携して開催すれば、日本ゴルフツアーも人気が上がるし、日本人選手への刺激にもなると思う。まだまだ国際性に欠けるというのが印象だ。


 日本の女子ツアーは最後まで盛り上がった。森田と横峯の賞金王争いが最終戦まで、その最終日まで持ち越されたからだ。シーズンの前半に勝ちまくった森田を、後半に横峯が猛烈に追い上げ競り合いになった。最後は結局一打の差で森田が賞金王になったが、見ごたえのある争いだった。
 森田は師匠の岡本綾子を思わせるゆったりとしたスイングだが、長身と強い筋力でものすごく飛ばす。小型の選手が多い日本の一流女子ゴルファーの中では珍しい大型のゴルファーだ。彼女ならアメリカでも十分やれると思うので是非チャレンジしてほしい。横峯はこの二、三年の低迷状態(他の選手なら立派な成績だが)から抜け出してもう一つ高い段階に向かいつつあるようだ。有力選手がアメリカに行く中で日本に残った数少ないトッププレーヤーなので、もっと勝って永久シードくらい取って欲しいし、海外メジャーも取って欲しい。今年の後半の出来はそれが不可能ではないと感じさせた。宮里藍よりもそういう意味でのポテンシャルは高いように感じる。

 宮里藍と言えば、米国LPGAに参戦した日本人プレーヤーはもう一つの結果だった。賞金ランキングでは宮里藍が27位、宮里美香が36位、上原が58位、有村が61位、上田が88位だった。上田は来年から日本ツアーに戻るということだ。やはり選手層が厚いので日本人選手が活躍するには相当調子が良くないと難しい。自分の良さが発揮できるコースでのトーナメントに絞って、入念な調整をする必要があると思う。それでもパク・インビやフォン・シャンシャンは凄い。ちょっと日本に来ても優勝争いをしてアメリカでもトッププロとして活躍する。技術、体力だけでなく、精神力も違うと思わざるを得ない。

 米国PGAの2013年はタイガー・ウッズが5勝してぶっちぎりだった。(もっともメジャーでは勝てなかった) 来年もウッズを中心にミケルソンアダム・スコット、クーチャー、ステンソンあたりが上位を争うのだろうが、わたし個人的には英国のウェストウッドやマッキロイにも活躍してほしい。特にウェストウッドにはメジャーを取って欲しい。こうしたプレーヤーに混じって日本人ゴルファーが活躍したらどんなに楽しいだろうか。来年はそれが夢ではないと感じさえる状況だ。考えているだけでもわくわくして、来年の試合が待ち遠しい。