ボストンレッドソックスの上原浩治が凄い。クローザーとして大活躍をし、レッドソックスのリーグ優勝の立役者となった。彼を見るために時間の許す限りレッドソックスのＴＶ中継を見る。見れない場合は夜にＮＨＫＢＳのＭＢＬ特集で見る。これほど日本人メージャーリーガーの活躍に注目したのは松井秀樹以来だ。
何故これほど熱心に見てしまうのだろうか。一つはクローザーとしての役割が持つ特性にある。彼はほとんどの試合(特に勝ちゲーム)に顔を出す。それも重要な場面や勝ちが決まる場面で。バッターならいざ知らず(バッターでもレギュラーでないと毎試合は出れない)ピッチャーでこれはすごいことだ。黒田やダルビッシュは先発としてローテーションに入っており、それだけで一流の証明だが、彼らとて試合に出るのは４日か５日に一度で、最後まで投げることはめったにない。上原は毎日出る上、試合終了まで投げる。そこでわたしたちは彼の゜どうだ、やったぜ'という顔を見るわけだ。応援したくなって当然だろう。もちろん打たれて負けてしまうこともあり、そんな時は気の毒だが、今年はそんな姿を見ることが少ない。負けるのを見るのが貴重な位だ。
次の理由は上原の活躍が予想をはるかに上回る意外なもので、その活躍のベースにある彼の精神力なりガッツが伝わってくるからだ。上原の年俸はボーナス込みで約５億円だそうで活躍を考えるととても買い得だったと言われる。(われわれ庶民から見るとこれでもすごいと思うが)実際ＭＬＢに行ってからのプレーは必ずしも素晴らしいというほどではなかったのでこの位の年俸が妥当だったのだろう。またわたしの印象でも、彼は巨人の最初の４,５年は大活躍したが、その後は故障にも悩まされ峠を過ぎた選手というものだった。だからＭＬＢに挑戦と言ってもあまり活躍は出来ないだろうと思っていた。実際安定した投球はするものの日本での活躍に比べると大した実績は上げていなかった。わたしが覚えていたのはレンジャーズの時にポストシーズンの試合の大事なところでポカポカと連続してホームランを打たれたことぐらいだ。
だから彼はオリオールズ、レンジャーズ、レッドソックスと球団を移らなくてはならなかった。３８歳という年齢もありもう最後の仕事場を捜しているのだとさえ感じた。しかし今年の様子を見ていると本人はまだ絶対やれはずだという自信を持っていたようだ。高い評価を得ていなくても゜おれは負けない。力を見せてやる゜という強烈な闘争心がＴＶを通して伝わってきた。巨人の時の怪我やマスコミからのバッシングにも負けない強い気持ちがわたしたちに勇気を与える。まっすぐな、男だな'と思わせる。自分の記録に執着し、チームの同僚と打ち解けず、そんな我儘をＷＢＣでのとってつけたような愛国心で糊塗するあの計算高い選手とはえらい違いだ。上原には男に惚れさせる心意気を感じるから目が離せないのだ。もっとも彼は男と熱烈に接触しすぎて怪しいとの噂もある。まあ冗談だろうが。
最後の理由は彼の投球術だ。ストレートが１４０キロそこそこで、あとはスピードの変化をつけたスプリット・ボールを投げる。これでは打たれるだろうと思っていると、実際昨年までは良くホームランを打たれていたが、今年は簡単に強打者を三振に取ってしまう。なんであの球威なのに三球三振するんだと思うのだがやはり簡単には打てないようだ。恐らく打者の読みの裏をかいた球を絶妙のコントロールで狙った場所に投げられるからだろう。この調子でワールドシリーズでも頑張って欲しい。
話は上原から離れるがやはりＭＬＢは面白い。投げて打つ守るがシンプルでスピーディでスリルにあふれている。これを見ていると日本の勝利優先のプロ野球の戦法、コツコツと当てて何とか点を取るのが如何にも面白みに欠ける。確かにＭＬＢには雑なところもあるが、投げる、打つ、守るの水準ははるかに高い。日本で実績を上げた選手が行きたくなるのは良く分かる。
日本のプロ野球で活躍する選手、特に打者は圧倒的に外国人だ。ホームラン、打点では勝負にならない。これらの選手はＭＬＢで上手くいかなくて日本に来たのが大半だ。これ一つ見てもレベルの違いは歴然だろう。なのにあの張本氏などはなぜ日本の方がレベルは上だなどと愚かなことを叫んでいるのだろう。そうすることで日本野球が空洞化することを防ぐとでも強弁するかもしれないが、事実に反することを言っていては説得力などまるでない。
まあ張本氏は好きで言っているのだからほっておいてもよいのだろうが、もっと不可解なのはその人を使い続けるＴＢＳの神経である。日曜の朝の番組で氏に不見識なことをわめき散らさせて、それに異を唱える出席者の方を降板させるという愚挙は信じがたい。朝のワイドショーのみのもんたと昼の番組の和田アキコの愚劣さを、またニュースに出てくる解説委員などの上から目線での実のない発言を放置しているのも同じ流れにある。この局は早晩駄目になるとしか思えない。
