外国人の名前の発音

 以前書いたことだがオードリー・ヘプバーンのヘプバーンとヘボン式ローマ字のヘボンは英語では同じ綴りでHepburnだ。表記がなぜこんなに違うかということに加え、どちらが実際の発音に近いかが気になるところだ。わたしはヘボンを支持する方だが、何故かというとヘボンはアクセントの位置がへに来るのに対して、ヘプバーンだとバに来るように感じるからである。この二つともへにアクセントをつけて言えばかなり伝わりやすい。こう考えると明治の人はヘボンと表記することでアクセントの問題にも配慮していたように思う。一方でヘプバーンと訳した人は英語の綴りに忠実であろうとして発音への影響を軽視していると言える。

 富国強兵を唱え欧米に追い付こうとしていた明治の方が、昭和よりもっと外国に近づこうという思いが強く、先進国の文化をそのまま受け入れようとする謙虚さがあったのかもしれない。何故以前書いたことをまた持ち出したかというと、英語の名前の発音を教えてくれるWeb−siteがあることに気付いたからである。色々あるが、AT&T Natural Voices, Pronouncenames.com, Learn How to Pronounce Namesなどはよく知られている。ぜひここへアクセスしてHepburnの発音を確かめて欲しい。

 私個人としては、カバーしている名前の数、発音記号の表示などでPronouncenames.comが最も良いと思うが、ここは発音が聞くための手続きがややこしい。WAVかMP3のファイルを用意しろというメッセージが出るが上手くいかない。もっとも比較的多い名前についてはそんな手続きもなく音声を聞ける。またよほど変な名前でない限りは他の二つのサイトで十分だし、こちらのほうが使いやすいかもしれない。
 
 こうしたサイトを知るきっかけとなったのはオードリーの名前の由来を本で読んだことにある。たまたまヘプバーンのファーストネームだが調べたのはこの女優への興味からではないし、もちろん漫才のオードリーからでもない。オードリー(Audrey)はアングロサクソンの古い名前で、AethelthrystかEtheldredaの愛称だということだが、この二つの名前の正しい発音に興味を持って調べていくうちにPrononcenames.comにたどりついたのだ。ちなみの他のサイトではEtheldredaがあるところはあるが、もう一方はまずない。この意味でPronouncenames.comがいいのではと言ったのである。

 こうしたサイトが出来るのはやはり多民族国家アメリカならではという気がする。世界中の人たちが集まる国だから名前も様々でアルファベットで表示されていても読めないものが多い。こうしたサイトが必要な社会背景があるのだ。グローバルな社会なのだから、日本もカタカナ表示すればよいと考えるのではなく、アクセントを考えた表示にするとか、こうしたサイトを充実させて本当の発音を覚える工夫をすべきだと思う。

 Pronouncenames.comのもう一つ良い点は、ある名前について、わたしたちがどう発音するかを吹き込んで送れる仕組みがあることである。ゴルフの青木功選手は米国ツアーに参加したての頃、もう40年以上も前かもしれないが、Aokiをエイオーキと発音されていた。Katoがケイトウと呼ばれるのと同じである。しかしわたしたちが正しい発音を吹き込む仕組みがあればそんなことは少なくなる。とても素晴らしいやり方だと感心した。

 ただどうしても欧米中心のようで、もちろん日本、中国、タイなどの名前もかなり調べられるが、わたしの知り合いのマレーシア人の名前を二ついれたが、データはなかった。こうした点での改良は必要だが、欧米に関する限りとても役に立つ。知り合った相手があまり聞きなれない名前の場合は、こうしたもので調べておくのが良いかもしれないと思う。