株乱高下は大騒ぎするほどか

 株価が激しく動いている。5月22日に終値で15,627円をつけてた後、今日(5月31日前場終了時点)は13,807円となり、1,820円の下落で率としては11.6%ダウンである。わずか10日の間のことだから大きな変動ととらえられているが、それでも11.6%ダウンに過ぎないと言えなくもない。半分になったわけでもないのにワーワー騒ぐなと言いたくなる。

 週刊誌や新聞は大騒ぎで、安倍政権を好ましく思っていない新聞などは大喜びなのだがそれを隠して、アベノミクスが失敗に終わるようなことを書いている。しかし少し冷静に考えてみると昨年の9月末、まだ民主党政権自民党総裁に安倍さんがなった時だが日経平均は8,870円で、昨年末自民党が選挙で圧勝し政権に返り咲いた時は10,395円だったのだ。今の株価は比較するとそれぞれ56%、33%のアップである。この時点でアベノミックスは失敗などというのは早すぎるだろう。もし敢えて言えというならそこそこの成功というべきだ。

 円安、株高は明らかに市場の雰囲気を、そして企業の業績を変えている。トヨタなどの日本を代表するグローバル企業の業績は好転しているし、トヨタは従業員のボーナスを大幅に増やしたと発表した。他にも追随する企業があると思う。こうかくとすぐに業績の悪い企業もあるとかボーナスが減る会社もあるなどという記事を書く新聞があるが、全ての企業の業績が良くなり、全ての従業員のボーナスが上がるなどという状況が簡単に来るわけはないのだ。昨年までにはなかった傾向なのでこれを契機に消費が少しでも回復したら良い。今まで不当なウォン安で業績を伸ばしていた韓国メーカーは一転して業績が低下しているという。この状況を生かして日本経済の回復の糸口をつかむチャンスにすべきだろう。

 以前当ブログにも書いたが、わたしは安倍総理の極端な金融緩和を支持しているわけではない。きわめて危険な政策だと今でも思っている。特に黒田氏が日銀総裁になってその考えが強まり、財政破綻のリスクが高まっていると感じている。しかし今の時点でそれを言うべきではないと考えているのだ。上記のように今の状況は明らかにこの数年と違っている。それはリスクと裏腹でもやはり良い傾向だと思う。日本経済が低迷から脱する可能性を感じるのだ。

 朝日新聞などを読んでいるとアベノミックスの悪い面ばかり強調して、昨年までの政策を取っていた方が良いと言っているように感じるのだが、あの閉塞感に満ちた出口の見えない重苦しさは、経済だけではなく人々の気持ちさえ暗くしてしまうと思う。一部の学者やマスコミはその方が良いと言っているようだが、それは彼等が景気と無関係に安定した生活が保障されているからであり、庶民の暮らしなどどうでもよいからではないかと考えてしまう。新聞記者の知り合いがいたらその行動や生活ぶりを見てみると良い。明らかに一般の人とは遊離しているのに、上から目線で庶民の味方のようなことを言ったり書いたりしている。要するにそんな輩の言うことを真に受けてはいけないのだ。

 株価が乱高下する事態になると、つくづく株とは投資家の心理を反映したものだと思う。評論家は経済的な指標をベースに解説などをするがまともに聞かない方が良い。彼等は野球の評論家と同じで結果を見てから講釈するだけなのだから。株が下がればその原因をもっともらしく言うが、下がる前に下がるぞとは言わない。要するに分からないのだ。いくら経済の動きを分析したり、チャートを分析しても、分からないものは分からないので、言えるのは投資家の心理の方が経済の動きより株価に影響を与えるということだ。

 今多くの投資家は弱気になっていると思う。もっと下がるのではないか、せっかくの儲けを吐き出してしまうのではないか、もう吐き出してしまってどんどん損するのではないか、と考えリーマンショックのことが頭をよぎる。わたしにもそういう気持ちはある。しかしわたしはいい加減な大新聞や評論家の言うことは信用しない。それより事実に注目する。株で今までの損を取り返した人達の消費行動が変わってきた、上述したように大企業のボーナスが大幅に伸びた、多くの企業の決算が改善している、これらは昨年までなかったことだ。ネガティブナなニュースと同じようにポジティブなニュースを考慮する。そして全体として市場や経済が昨年までと違っているかどうか判断するのだ。決して弱気になるだけではないと思う。

 少し前の株価を見てみると面白いことが分かる。例えば昨年の2月末の日経平均は10,084円で一昨年の12月より1,600円、19%以上の上昇をしたのだ。週刊誌にも今後の株価はどうなるのか言った特集が組まれ、わたしもそれをブログに書いた位だ。しかしその後株価は8,800円台に落ちてしまう。その一年前2011年の2月の株価も10,624円だったのだ。これはその後の大震災などもあり下がるが、今まで何度も1万円を超し回復の兆しを見せたのだが、いつも失速してきたのだ。しかし今年は違う。今回の暴落前までに昨年の12月の株価より50%も上がり、今日の前場でも上記のように33%アップだ。だからバブルだと言えばそうなのだが、いままでとは違う環境に入っていると考えても良いと思う。バブルだからいずれ破裂はするのだが、それはもう少し先だと思う。

 昨日週刊新潮の`専門家8人の実名証言「株の売り時その根拠」’という記事を読んだらあまりにも馬鹿馬鹿しくて、腹が立ってまた株を買ってしまった。全く非論理的、感情的行動だが、株も買わずして勝手なことばかり言う輩に怒った結果だ。もちろんその損得はわたしが受け止める。わたしは4月半ば、それから5月半ばに全体の40%くらいの株を処分したので、また機会を見て買いに入ろうと考えている。それからまた売る時のことを考える。みんなが売ろうと思っている時には売らず、みんなが売らないと持っている時に売るのが良いと感覚的に考えているのだ。