最近の株高にどう対処するか

 6月5日の日経平均終値は22,863円だった。この1週間で801円、2週間では2122円の上昇である。今年の最安値をつけた3月19日からは6311円の戻りとなった。3月から4月初めはコロナウィルスの影響で経済や社会がどうなるか分からず、みんな不安に駆られていた。それに比べると今は人々の気持ちは好転し、経済再生への意欲が高まっている。だから株価が3月より高くなるのは分かるが、2~3か月でこんなに戻すとは考えもしなかった。経済状況は低迷しているし、企業の利益も最悪に近いのにこの株価は何だ。感覚的には2万円くらいなら理解できるのだが、23000円に近づき今年最高値の24116円超えもあるなどと聞くと信じられない。経済状況とは無関係に株価が上がっている。これは日本だけではなく世界的傾向だ。

 

 企業の資金繰り支援や雇用確保のために政府が莫大な支出を行い、大幅な金融緩和をした結果余剰資金が生じ、それが株価を押し上げているというのが説明だ。それはそうなのだろうが実体経済からは乖離したまま、ちょっとした政治経済の動きに反応して株価が上下する状況が長く続くとは考えられない。しかし株式投資をする立場からは、マーケットが異常だと言っているだけでは能がないし、こうした状況でどうアクションをとるのかを試されているのだと思うのでわたしがどう対処しているかを書いてみたい。

 

 こうした訳が分からない時はじっとしてるのが正解だというのがわたしの基本的なスタンスだ。大混乱が収まれば株価はまた戻すだろうと思うからだ。しかしただ手をこまねているのも芸がないから、先安を感じれば保有株を処分したり、リバウンドしそうな時は買いに入る。そうはいっても手持ちの一部を動かすだけで、小さな利益を得てよしとしている。大損を取り戻すのは全体的な株価が戻る時だ。

 

 具体的に言うと3月後半から少し保有株の売り買いを始めた。安値だと判断すれば買い、戻ったかなと思えば処分する。現金のポジションが小さかったので、保有株数に比べ購入株数が少なく、入手コストが若干下がる程度で、売ったとしても依然大きなマイナスだ。何もしないよりいいという程度だ。4月は株価も18500円から19500円くらいを行き来していたのでこれをぽつぽつとやって小さな利益を得ていた。

 

 しかし5月に入ると株価が急上昇し始めた。多くの企業が1~3月が大赤字で、今期の利益予想も控える状況での急上昇には驚くだけだった。こんな状況が続くわけがないと考えるわたしは待ちの姿勢をとりつつ売り時を狙っている。(これとは関係がないが5月19日には倒産したレナウン株を21円で売却した)その後は待ちから売り中心のスタンスを強め、いつ大きな下げが来ても大丈夫な体制をとる。また現金のポジションを高めることで、次の大きな下げの時にすぐに買いに入れることも考慮した。2つの証券会社の口座の株と現金の比率は、5月26日で82対18だったが、6月5日には45対55で現金が半分以上になった。じっとしているのが基本のわたしとしてはちょっとしたチャレンジだ。

 

 6月5日の金曜日の朝、今日は下げだろうと思っていたが、結局170円ほどの上げになった。2つの株を処分し、少し意地になって今となっては数少ない保有株のうち2銘柄について信用売りをした。この株が来週上がれば保有株を売却し、下がれば信用売りに対する返済買いをする。土曜日での日経先物は290円高で少しがっかりだが、6か月のうちにはきっと下げる時がある。それが2万円かそれ以下かは分からないが、その時には買いに入ろう。未来の株価は神のみぞ知るだから運みたいなものだが、こんな時こそ自分を信じて決して怪しい評論家(有名な奴ほど怪しい)に頼ってはならない。