天地明察

 天地明察を見た。言うまでもなく冲方 丁(うぶかた とう)のベストセラーを映画化したものである。'うぶかたとう'など普通は読めないですね。わたしなどは苗字と名前が分けてなく、漢字が三つ並んでいるとどこで切るのかも分からなかった。

 さて映画についてだが、久しぶりの時代劇ということで興味を持ってみたが、中々面白かった。会津藩のお抱え囲碁棋士である安井算哲(後の渋川春海)は算術と天文学にも深い興味を抱いていたが、その彼が保科正之徳川光圀に命じられ日本に適した暦を作り、国(朝廷)に採用されるまでの苦労を書いたものだ。史実には基ずいているのだろうが、そこは小説なので色々とフィクションもあるだろうし、わたしにはどこまで本当なのかは良く分からなかった。月並みだが、300年以上も前に、天体観測をし、正確な暦を作るなど本当に大変だったと思うが、いつの時代にも賢い人はいるものだというのが印象だ。特に数学の天才と言われる関孝和も出てきて、その天才ぶりが描かれるなど興味深かった。

 幕府の要人たちは中国から輸入された現在の暦が必ずしも正確でないこと(春分などが2日ずれていた)から、新しい暦の必要性を感じ、安井算哲に新しい暦の作成を命じるのだが、いつの世にも守旧派はいて中々これを認めない。天皇の側近である公家たちがその代表で、現状維持への彼等の執着はまるで現在の官僚たちのようにも思えた。

 
 主役の岡田准一はハンサムだし、演技も上手だった。立派な俳優になれると思ったが、いかんせん体が小さく、主役を張るというより、脇役として一流になる方が向いているのではと感じた。彼の妻になる宮崎あおいは可愛いが、声がキンキンして映画には少しそぐわないと思ったが、これも好みの問題なのだろう。その他には中井貴一松本幸四郎などそうそうたる顔ぶれだが、力持ちの大男役で、プロレスラーの武藤敬司がでているのも面白かった。時間と興味のある方はぜひご覧ください。