気分転換にただで映画と食事を

 春はいつも体調がよくない。その度合いが年々ひどくなる。以前なら今を乗り切ればまた楽しく毎日を過ごせると思ったのだが、年を取るにつれこの状態が普通になるのではなどと考えてしまう。例年花粉症と風邪が重なったような感じで熱が出たり、咳をしたりするのだが、今年は風邪っぽいわりに熱も咳もなくて良いのだが、頭痛とひざ痛が加わって気分がすぐれない。頭痛は1月と2月に軽く頭をぶつけたせいかもしれないと考えると、3年前の硬膜下血腫のことを思い出してテンションが下がる。また頭に血がたまって穴をあけて抜くかと思うと元気が出ない。4月に旅行に行くので旅先で何かあるといけないので3月末に脳外科で検査をすることにした。それにひざ痛だ。初めは膝の上部に軽い肉離れのような症状があったのだが、シップなどで対応しているうちに膝の内側が痛くなってきた。ひどい痛みではないが、膝にある方向で負荷がかかると痛みがあり、歩いている時にも思わず立ち止まって膝に触ったりしてしまう。妻が以前からひざ痛を訴えてきたのが自分に降りかかるとなるほど厄介だと初めて実感する。こんな状況なので酒も控えてゴルフも行かないし、練習もしない。ギターを弾いたり、本を読んだりも楽しいが、体を動かさないとやはりすっきりしない。

 

 家にこもってばかりも良くないと先週は妻とお台場に行った。何をするのかというと映画を見て食事をするのだ。何故横浜の南部からお台場くんだりまで行くかというと、ポイントでもらったクーポンを使うためだ。ひとつは妻のJALマイレージでもらった商品券が3月末で期限切れになるのだ。マイレージは大体飛行機のアップグレードに使うのだが、半端のマイルは飛行機での買い物用に商品券にする。ところがこの何年かは旅行に行くのにJALを使わなかったので商品券が余ったまま期限を迎えた。川崎にも日航ホテルはあるのだがビジネス向けなので良いレストランはなく、お台場のグランドニッコーに行くことにした。あと一つも妻がインターネットで買い物をして貯めたポイントのあまりで映画券をもらったのだが、この券が使えるチェーンがお台場にあるからだ。ただ飯ただ映画という魂胆だが、おごってもらうわけではなくて自分で(妻がわたしの金で)手にしたものだから問題はない。もっとも企業側からすれば券を使わないで終わってくれたらコストが発生しないので良いかもしれないが、それはこちらの問題ではない。

 

 映画は「マスカレード・ホテル」を観た。もう封切りから大分経っていたせいか客席はガラガラだった。平日の3時過ぎだとこんなものかもしれないが。東野圭吾の小説を映画化したもので木村拓哉長澤まさみが主役でそれぞれの個性を生かした演技をしている。チョイ役で有名俳優が沢山出ているのが楽しい。キムタクと元相棒の刑事を小日向文世が演じていたがいつもの通りとても上手い。脇役が良いと映画は締まるなぁと改めて感じた。感動するほどではないし、感心もしないがそれなりに楽しめるといった映画だと思う。

 

 食事はニッコーの40階のグリルで食べたが、わたしたち以外には泊り客の3人がいたくらいで帰るまで新たな客は来なかった。景色も雰囲気も悪くないがここに客がたくさん来るかというと難しいんじゃないかというのが率直なところだ。何といっても値段が高い。あのロケーションでこれはないだろうと思うレベルだ。たしかに一流ホテルならこのくらいなのだろうし、グランドニッコーがそうしたグレードだ言うのも分からなくはない。また最近は昔に比べ超富裕層が増えていて値段が高いことなど気にしないというのも分かるが、そうした連中がしょっちゅうここに来るとは思えない。ホテルの表を歩いたって大半は若い人や超リッチではないビジネスピープルだ。彼らはここには来ない(来れない)。あの値段をとれるのは金を使うビジネス客が大勢いるところだ。丸の内、赤坂、六本木、新宿くらいだろう。そこなら会議の後や、海外からの客と食事をする人や機会はとても多い。相当高くても味や雰囲気が良ければ客を呼べる。果たしてお台場はどうなのか。

 一日行っただけなので断定的なことは言えないが、あまりに旧来の発想、ホテルの格とかにこだわり、ホテルの特性に合ったマーケティングをしていないために閑古鳥が鳴いているように感じた。あの頭の固い銀行だって時代の変化を後追いして、店舗や人員を見直している時代だ。ホテルも自らの特性にマッチした戦略をとらないと生き残れないだろうと思った。その堂々たる値段のために当然のように保有している商品券の額を超えた請求となった。グラスワインが2400円だ。二人で2杯ずつ飲むと一万円だ。後は推して知るべしだ。以前行った帝国ホテルの鉄板焼きもとても高かったが、それでもまあ妥当かなという感じがした。この違いがポイントだと思う。

 酒を飲んだのは10日ぶりくらいで頭痛を心配したが、その夜は久しぶりにぐっすり寝られた。やはり気分転換は大事だと思った。