次の総理は誰か

 某週刊誌にポスト菅は岡田幹事長か前原外相の争いだという記事があった。今の民主党で次の総理になれそうなのはこの二人なのは間違いないだろう。しかしこれは民主党政権が今のままで続いた場合のことだ。小沢氏の国会招致問題がこじれて、民主党分裂、政界再編成にでもなれば話はまったく違ってくるだろう。

 わたしは政界再編成を期待しているが、その理由の一つに再編すれば総理をはじめとする大臣候補の層が厚くなることがある。(もちろん最大の理由は、政治思想がまったく異なる人たちが権力を得るだけの理由で一つの政党にいることの矛盾が、民主党の政策を危ういものにしていることだ)
 民主党だけだと上述のように次の総理候補は二人だけだし、大臣に関しても鳩山、菅内閣をみれば人材不足は明白である。これが再編成して思想、信条を同じくする政治家が集まって政党を作れば、新たな総理候補も出て来て選択の幅が断然大きくなる。あっと驚く人が総理になる可能性もあると思う。

 そうなれば中々楽しいし、われわれ国民も国の将来に少しは希望が持てるようになるかもしれない。しかし思想、信条を同じくする人が結集すると言っても、それぞれの政治家がそれぞれの野望を持っていることを考えると、新党結成は簡単に行くものではないだろう。となるとやはり岡田か前原かという議論は無視できない。菅総理は支持率が1%になっても退陣しないと言ったという話だが、退陣するのが意外と早い可能性はある。参院選で負けた時も多くの国民は、'菅総理では頼りないがあまり頻繁に総理が変わるのも問題だ'といって支持したので決して能力を買っているわけではない。

 岡田か前原かと言われるとわたしは岡田氏のほうが総理にふさわしいと思う。前原氏も外交姿勢などは共感できるものがあるが、危なっかしさがぬぐえない。民主党代表の時の偽メール事件の時の印象が強烈で、前原氏は本質的にはあの時と変わっていないように思える。国交相の時も現在の外相でも、自分の発言が色々な方面へどんな影響をもたらすかの自覚に欠けているようだし、自分の発言のおとしまえをキチットつけていないように思えるのだ。総理大臣になったら注意してそうした発言はなくなるとは思えず、深い思慮や根回しなしにさらに重大な発言を連発しそうだ。無責任な発言をして混乱を起こす総理は鳩山氏で十分である。

 一方の岡田氏は頑固で融通が利かないというのが定評だ。しかし民主党の幹部の中ではスタンドプレーをしないし軽薄な発言もない。だから面白みがないのだろうが、無責任な発言をする政治家が多い中では貴重な存在だ。なによりも良いのは問題に対して正面から取り組もうとする姿勢だ。こうした愚直さを持つ政治家は信用できる気がする。岡田氏は私用、公用の区別をはっきりと付け、贈り物も決して受け取らないという。小泉純一郎も同じでバレンタインのチョコレートも送り返したという話がある。妙に話が分かるより、そのくらい変人といわれるほうが変革を実行しようとする時は良いと思う。外国人にも分かりやすくて理解される気がする。

 心配なのは駆け引きや裏切りが当たり前の党内外の勢力争いや外交交渉で、岡田氏のような直球勝負が通用するかということだ。しかし外交についていえば、最近の総理大臣たちが傑出した外交手腕を発揮していたかと考えると岡田氏が彼らに劣るとも思えない。また党内や野党との折衝も岡田氏を支える有能なスタッフをそろえればしっかりした内閣になり、上手くやれるはずだ。民主党も鳩山、菅と力量不足の総理を続けただけに、もう失敗は許されない。また国民の期待を裏切るような人が総理になると政権与党の地位を維持できないだろう。そうなれば政界再編成が現実的になるからよいという考えもあり、それを否定出来ないのが残念だが、民主党政権ならやはり岡田氏には一度やってもらいたいというのが私の気持ちである。