仙台市泉パークタウン;住宅街開発の難しさ

 仙台と山形に行ってきた。仙台に住む会社時代の先輩が歓迎をしてくれて楽しい旅行になった。出発前には台風の接近が予測されていたが関東地方へそれ、私は台風から逃れるように東北に行ったことになった。ゴルフも気温27-8度の秋の気配がする中で、前夜のおいしい日本酒の二日酔いに悩まされながらも、快適なプレーであった。泉パークタウンゴルフ場は距離もしっかりあり、フェアウェイも広い良いゴルフ場である。キャディさんをはじめゴルフ場のスタッフも水準以上のサービスを提供しようとする気持ちを示していて、一流のゴルフ場のステイタスを守ろうとする姿勢が感じられた。

 しかし私にはその姿勢がやや空回りしているように思えた。7-8月以外は上着の着用を求めている点など勘違いの典型例である。大橋巨泉氏が良く書いているが、名門の意味を勘違いしたような日本の一部のゴルフ場が推奨する'ふさわしい服装'などは笑止千万なものが多い。外国の一流と言われるゴルフ場でも聞いたことがないようなものがある。そういうルールを求めている人達が広い視野、柔軟な考え方、高い教養を持っているとは思えない場合すらある。服装をうんぬんするより、人品を問うべきだし、ゴルフのマナーを議論すべきだろう。泉パークタウンは良いゴルフ場だが、そのロケーションからいってプレー費は高いし、つまらない格式に縛られているため、もっとストレートなサービスを提供することで多くの人に選ばれる、快適なゴルフ場になるチャンスを逃しているように感じた。

 このゴルフ場は前回も書いたように、三菱地所が開発した大規模な住宅地の中にある。他にテニスクラブ、乗馬クラブ、ロイヤルパークホテルもある。これらの点からも三菱地所がこの住宅地をどう位置づけようとしていたか分かるだろう。仙台駅から地下鉄で10分チョットの泉中央駅で降りて駅前を車で走ってみたが、駅前はそうした開発会社の意図とはやや異なる雰囲気だった。住宅地は駅から少し離れているので、民間会社が駅前の開発をしたわけではないのだろう。そこを考慮しても少しステイタス感がなさすぎる感じがした。私の家から遠くない、名前に台がつく新興の住宅街の方が明るさとにぎやかさがあり、しかもそこそこのグレード感を持っているようにさえ思えた。

 住宅街は住宅が古い地区と新しい地区が分かれている。昔開発し販売したところは、住宅が古びていて、最近売り出した地区は最新の作りの綺麗でゆったりした住宅街になっている。昔開発したところも建て直しなどはしているのだろうが、平均的な住宅が多く高級感には乏しい。全体的に見て開発業者のコンセプトに合った街並みが揃っているとは言えない。こうした点が大規模開発の難しい点なのだろう。古くからの高級住宅街であれば、建て直しをしてもそれなりの水準の家が建つので、街のステイタスが維持されるが、多くの人に販売する新興住宅地となるとそうはいかない。これが東京近郊なら高所得者の層が厚いので、上手く住人の入れ替えをすれば、水準の高い家並みが維持できる可能性もあるのかもしれない。住宅地の中に高級なスポーツ施設や一流ホテルがあることは住人には便利だし住宅街のステイタスを高める効果があるとは思うが、それを利用できる住人が十分にいるようにも思えないし、他の住宅街と比較して際立っているとはおもえなかった。

 バブルのころに東急不動産が千葉県に5億から15億といった値段の高給住宅地を作り、ロスアンジェルスの高級住宅街をもじって'チバリーヒルズ'と言われたが成功しなかった。直接的な原因はバブルがはじけ、千葉の田舎にそんなに高い住宅を買う人がいなくなったことだが、それだけでなく人工的に作った豪華な街並みが住む人の心を和ませるものではなかった点も定住する街としては不十分だったようだ。その後3分の1位の値段で土地だけを販売しているようだが、売れているとは聞かない。元々のコンセプトに無理があったのだろう。
それに比べれば泉パークタウンは仙台郊外としては成功していると言える。しかし上述したプライドの高いゴルフ場に相応しいい住宅地になっているかは疑問である。