TVでオリンピック観戦

 相変わらず暑いので家にお籠りしてオリンピック観戦だ。なんだかだ言ってもオリンピックは楽しいし熱中する。スポーツ観戦が好きなわたしだが、こんなにいろんなスポーツを見るのはオリンピックの時ぐらいだ。オリンピックでの楽しみの一つはサプライズだ。予想もしなかった選手や種目で日本人が活躍するのは見ていて興奮する。

 今日(8月18日)まで日本選手団は金10個、銀5個、銅18個と最近の大会にないくらいの好調さだ。実力があるのに十分に力を発揮できなかった選手たちを地道に鍛え上げた成果が出ているような気がする。水泳、柔道、体操、そして女子レスリングが金メダルの稼ぎ頭で、これらそれぞれの競技にそれなりのサプライズはあるものの、元々日本人選手が強い分野なので凄いサプライズとはいえない。

 これまででは男子卓球の水谷選手と団体がサプライズ感が大きい。そこそこの活躍はするだろうとは思っていたが予想を超えた強さを見せてくれたと思う。カヌースラロームの羽根田選手が銅を取ったのもサプライズといえる。高校卒業後スロバキアに渡りこれまでずっと当地でトレーニングをしてきたという経歴にも驚かされる。信念と努力と苦労とその他多くのものが結びついたメダルだなあと感心してしまう。

 しかしわたしが期待していたサプライズは陸上競技だった。陸上競技が好きなのでいつのオリンピックでも期待をしてしまうのだが、過去にはめったに起こらないとはいえ、室伏や高野が、そして男子400メートルリレーなどでサプライズを見せてくれた。もちろん過去のマラソンでの活躍はサプライズではなく期待通りの実力発揮としてわたしたちを興奮させてくれた。しかし今回はまるでだめだ。トラックの短距離、中距離などはあまりの力の違いに白けてしまうくらいだ。

 男子100Mも期待の選手が3人そろったとして9秒台突入、決勝進出などと騒がれていたが、最高が山縣選手の10秒05では勝負にならなかった。3人が一度も9秒台を出したこともないのに、本番オリンピックでそれが達成できると考える方がおかしいのだ。MLBの強打者の中に3Aまたは日本のプロ野球の打者が混じっているようで力の違いは明白だった。それ以上に差を感じたのは女子のトラック競技でMLBと2Aくらいの差は十分にあった。ここまで違うとオリンピックに派遣することの是非を議論した方が良い気さえする。

 選手は懸命の努力をして試合に臨んでいるのは分かるし、日本の選手が世界のトップの力を間近で体験することの意義も理解できる。しかしこれほど力が違うと同じ土俵で戦うことが本当にプラスの効果をもたらすのかと疑問を感じてしまう。これではサプライズなんてとても期待できないし、選手はオリンピックに出ることが目的になってしまい、日本国内の選考レースに勝つための努力だけではレベルの向上につながらない気がする。

 こうした競技ではいくら日本でトレーニングを積んでも問題解決にはならないだろう。日本から外に出して強豪国でトレーニングをすることで世界のトップのレベルを日常的に感じるようにしないとだめな気がする。そうしたって問題の解決にはならないかもしれないが、選手は自分の位置が明確に分かってトーレーニングのやり方を抜本的に変えたり、競技種目を代えたりするようになるかもしれない。明確な見通しもなしに選手をオリンピックに派遣することもなくなるだろう。同じ金をかけるなら有力選手を海外に送ってしまう方がよほど良い。現時点でオリンピックでの活躍を期待できる陸上競技は男子やり投げくらいだ。

 今日から始まった女子のレスリングではいきなり金3つを取った。ものすごい実力だが、これは吉田や伊調選手などの世界トップの選手をいつも近くで見ていることの効果だと思う。世界トップはどうやって鍛えているのか、どんな精神力を持っているのかを身近で見て学んでいるうちに周りの選手たちも磨かれてゆくのだと思う。世界の一流レベルが目指す基準になってくるので強いのだ。残念ながら日本の陸上競技ではそんな環境を用意できない。それなら上位選手のうちで選ばれた人たちは日本を離れアメリカ等の強豪国で力を磨くべきだ。将来の成長を期待してなどと言って、まるで勝負にならない選手を安易にオリンピックに派遣するのを見直す時期に来ていると思う。