一寸先は闇

 年末や新年になると今年(年末の場合は来年)の見通しなどと言った企画が主流だ。十年一日というか百年一日のようで、もう少し目新しいことは考えつかないかとも思うのだが、マスコミは怠惰だし、読んだり見たりする方も怠惰で、惰性でそんな企画を求めているのかもしれない。経済予想や株価予想などが盛んだが、ほとんどが述べている人の都合の良いこと、つまり願望にすぎないのが大半だ。要するに先のことなど誰にもわからないのが事実で、NISA導入につられて株取引に手を出そうという人などはこのことを良く理解してやった方がよい。間違っても人の意見などに従ってはいけない。

 猪瀬直樹がさんざん醜態をさらした後でやっと辞任したが、彼がこんなに早く辞めることになるなんて半年前に予測した人などはいなかったろう。あの傲慢不遜な態度と恥知らずのパフォーマンスに、早く辞めて欲しいと思っていた人は可なりの数いただろうが、実際一年で辞めると思った人はいなかったはずだ。まあそれだけ多くの人に嫌われていたからこそ、問題が起こった時の風当たりはきつく、庇う人もいなかったのが命取りになった。身から出た錆だが、まさに一寸先は闇だと思う。

 では次に同じような目に会うのは誰かと考えてしまうが、この無責任さは面白く、年の初めの話題として相応しいような気もする。民主党はもう死に体なので倒れても分裂しても誰も驚かない。大阪市長橋本徹も政治家としての哲学も見識もないハッタリ屋だと分かってしまったので、この先凋落してもさもありなんという感じだ。東国原も不誠実を絵に描いたようだしまともな人は相手にしない。
 
 こう考えると一寸先は闇に相応しい躓きをする資格のある政治家は中々いないことが分かる。もっとも相応しいのは安倍晋三総理である。再び総理の椅子についてからは順風満帆というか競争相手がいないという状況でこの世の春を謳歌している。だから危ないというか、この言葉に相応しい気がするのだ。あまり起こりそうもないが(だからこそ一寸先は闇なのだが)、起こるとしたら何が原因で躓くのだろうか?

 尖閣慰安婦問題ではないだろう。それではあまりに平凡だ。こうした問題は表面上の過激さとは別にそれなりにうまく処理されるのだと思う。そのために職業政治家がいて職業外交官がいるのだから。(こう書いてはみたが今の政治家や外交官に任せて安心かと言うとこれがよく分からないところが怖い)躓くとすればもっと些細な問題になるのではないか。もちろん猪瀬直樹よりはよほど慎重でそつがないと思うが。

 何が起こるか分かれば苦労はないのだし、起こりそうもないのが基本のようだし、見当がつかないのだが、上手く行きそうに見える沖縄の基地の問題や東京オリンピックの準備などに危ない要素があるのかもしれない。

 ところで東京都知事選も中々候補が決まらないが民主党が細川前首相に出馬を依頼したというニュースには本当に驚いた。今さら細川氏を持ちだしてどうするのか? そんなことをする位ならおれが議員をやめて立候補するという人間はいないのだろうか? 全員が議員の椅子にしがみつくことだけを考えていて真に嘆かわしい。落ち目の時の自民党だってこれほど酷くはなかったと思う。この党の議員はサラリーマンとして議員をやっているのだろうか。

 自民、民主共に舛添氏が有力なようだが、そして妥当な選択だと思うが、やはり一寸先は闇といった展開があるのも興味深いし、都民の関心を引くと思う。