東京ステーションホテル

 ホテルオークラ東京が建て替えられることになり、谷口吉郎氏が設計したあの有名な本館ロビーが壊されることについて、海外の著名人やメディアから異議が上がり話題になった。50年以上前の建築なので相当傷んでいるだろうし、いつか来ると言われている首都圏地震の事を考えると建て替えもやむを得ないような気がする。こうした名建築物の取り壊しは地震国の宿命なのだろう。

 横浜カントリーのクラブハウスも谷口氏の設計ということで、薄暗く落ち着いた感じはホテルオークラと共通している。柱の少ない造りは地震の際には危ないのではないかといった話も出ているようで、現在のコース改修に合わせて新しい食堂を作るらしい。その際に今のクラブハウスをどうするかはよく分からない。これも消えゆくのかもしれない。

 さて今回の話題は東京ステーションホテルである。CNN.COMを読んでいたらこの記事にぶつかり、その内容に興味を引かれたのだ。私たちが見過ごしがちな、またはそれなりに評価しているもののとても大事にしているとは言えない日本の良いもの、それは伝統的な建物や文化に限らず西欧的なものについても当てはまるのだが、それらに外国人が関心を持ちその良さを強く認めることはよくある。ホテルオークラもまさにそうで今度は東京ステーションホテルとなると、我ながら良いものを見る目がないのかと言われているようで何か恥ずかしくなるが、まあ事実だから仕様がない。尤もひとこと言っておくとホテルオークラと同様に、東京ステーションホテルにもコアなファンがいてその良さは以前から話題になっていた。しかし東京とか横浜の住人がここに泊まろうとはなかなか思わないので、やはり詳しく知ることがないホテルであり外国人ライターの記事に学ぶことになってしまうわけだ。

 東京ステーションホテルの歴史はとても古く、東京駅の歴史とほぼ同じと言って良いので今年が100周年だそうだ。わたしなどがあまり強い印象を持っていなかったのは元のホテルのイメージがあまり高くなかったからで、鉄道好きが泊まるホテルくらいに思っていた。しかし2012年にリノベーションしてからは部屋数を50から150にし、ラグジュアリーホテルとして生まれ変わった。東京駅のドームを取り囲むようなドームサイドルームが人気があるそうで、特に朝に静かな部屋から、東京駅が眠りから覚めて忙しく職場に向かう人たちが溢れてくる風景を見るのはとても興味深いと評判だ。ドームサイドでなくても皇居が見える部屋や電車のプラットホームが見える部屋が有りどちらも素晴らしいという。そしてドームサイドルームに泊まらなくても、同様の風景を2階のバルコニーから楽しめるそうだ。

 今回ホテルの施設や部屋の写真をネットで調べてみたが現代的な建築に歴史的な施設や装飾がマッチしていて是非見てみたい。実際見学に来る人も多いらしい。ホームページを見るとランチ付き見学ツアーというのもある。レストランやバーの評価も高いが、値段を見ると堂々たるもので、これなら一泊して夕食は外で食べる方が良いかなと思う。というのもここは朝食が評判で東京駅の屋根の下のアトリウムで食べることができるからだ。夕食は便利な立地だから外で色んな選択ができる。とりえずは丸の内や銀座方面で食事をすることがあったら、帰りにバーに寄ってこの歴史あるホテルの雰囲気を味わいたいと思った。