日経平均2万円超えと保有株の売り方

 今日(4/22)日経平均終値で2万100円を超えた。15年ぶりのことだそうだ。今の勢いだと近いうちに2万2千円くらいは行きそうな感じがする。だからといって株を買ったほうが良いかというとこれが中々難しい。

 一部の評論家は2万5千円は行くと予想していて、その可能性もないとは言えないからこれから買うという選択肢もないわけではない。しかし大方の個人投資家にとっては株価がここまで来ると売り時はいつかというのが問題だろう。今の時点で損をしている株については当面保有しようとするのは分かるが、利益が出ている株については悩ましい。もう少し待てばもっと大きな利益を得ることもあるし、急な下落があると売っていれば良かったということになるからだ。最適な売りのタイミングは神のみぞ知るといったものだ。素人に分かるはずがない(玄人にもわからない)。

 だからわたしは儲かっているならそろそろ売ったほうが良いと思っている。所詮今の株価はバブルの結果なのだから。必ずそのうちに弾ける。いつ弾けるかなどは分からないのだから、弾けないうちに売ることだ。わたしも保有株の多くを処分した。もう一つ大量の株を持っている銘柄があるが、それは現時点で損が出ているので当面は(想定した株価に行くまでは)保有するつもりだ。待っても上がらなかったらどうするかと聞かれたらずっと持っていようと思っている。

 当たり前のことだが株は売るのが非常に難しい。上述したように最適な売りのタイミングなど分からないし、過去の嫌な経験や自分の懐具合などの情報が錯綜して、心理的にも合理的な判断がしにくいからだ。売り時には色んな説明があって、株の本を読むとそれぞれもっともらしいことが書いてある。しかし一言で言うとよくわからんからあまり無理をするなと言っているようだ。

 ある本には株を買った時の前提条件が変わったら売れというのがあった。ある株を買う場合その株を買う理由があるはずだ。業績が良くなる予測があるとか、新製品がヒットしそうだとか、技術力の評価が高いとか、または全体的な株式市場が上昇のトレンドにあるとかだ。そうした前提条件が変わったら売れという。その時点で儲かっていようが損していようが、それは単なる結果なのだから関係ない。売却の意思決定は前提の変化によるべきだというのである。

 これを読んだ時はそんなものかなあと思ったが、自分の経験に照らし合わせてみるとこれには懐疑的だ。株の売買の基本は儲かったか否かによるはずだからだ。第一、われわれが株を買う時の前提条件をそれほどクリアに認識しているだろうか。わたしの場合、業績や技術力、商品力、将来性を考えると相対的に安いと思える株を買うことが多い。売ろうかと考えるのは値上がりして利益が出る時で前提条件の変化などではない。利益が出ている時に悩むのは自分が想定していた株価まで待つか、それ以上行くのを期待するかという点である。これはもう賭けみたいなもので市場のモーメンタムを見るしかないのだが、これだってきちっとした理論など持っているわけではなく勘のようなものだ。エコノミストや株式評論家の意見や見通しはほとんど参考にしない。下がった時はどうするかというと後述する方法を取る。

 どうも株の専門家が推奨する株取引の方法はもっともらしい理屈にあった無難なものが多いように感じる。株の売買は博打性の強いものではなく、信頼できる市場に基づいた健全な取引だと言いたいようだ。また素人にリスクの高い方法を言って問題になるのを避けているのかもしれない。株の専門家たちがそうした投資の方法をやっているとはとても思えないからだ。まあ素人がプロがやるようなことをするなと言っているのかもしれないが、それでは大して儲かることもなく手数料だけ証券会社に取られるので、それも狙っているのかもしれないなどと思ってしまう。

 わたしがよくやるが株式の本などでは勧めていないことにナンピン買いがある。これは買った株が下がった場合、そこでまた買い足すことで平均の購入価格を下げる方法だ。わたしはもっと下がったら、大抵の場合もっと買う。それでは金がかかって仕方がないではないかと言われるかもしれないが、それでも買うのだ。これは危険だから決してやるなと本には書いてあることが多い方法だ。ただこのくらいのリスクを取らなくては株で儲けることなんてできない。(もちろん上昇トレンドに上手く乗ったり、たまたま買った株がすぐに上がって儲かることもあるが、それは偶然によるラッキーでしかない) また安いからといって業績の悪い銘柄でこれをやってはいけない。普通に考えて潰れそうもない会社選んでやることだ。

 これをやるには株に使う資金の4割くらいは現金で持っていて、いざ買い足そうとした時にすぐにアクションがとれる体制にしておく必要がある。株のための資金をすべて使って買いに行ってはいけない。下がった場合、身動きが取れず、余裕もなくなるからだ。心の余裕がないと客観的に市場の動きが読めないし合理的な意思決定ができない。そしてもっと重要なのはなけなしの金の大半をつぎ込んで株などやらないことだ。仮に2割や3割下がったり、損をしても生活に影響がない範囲でやることだ。そうすればそれなりの冒険もできるし株取引の醍醐味も味わえる。そして儲かったら早めのタイミングで売ることだ。そして専門家の意見を鵜呑みにしないこと。これが最も重要かも知れない。リスクは自分で取るのが正しいあり方なのだから。