STAP細胞疑惑;小保方氏明日会見

 猪瀬直樹の次は渡辺喜美佐村河内守の次は小保方晴子と全く飽きさせることなく、いろいろなスキャンダルが起きる。特に佐村河内氏と小保方氏の問題は、どちらも不正な創作過程や研究プロセスを隠して人々を騙したという点で似ているが、両氏に対するマスコミや評論家の対応は微妙に違うようだ。佐村河内氏に対しては心置きなく批判をするが、小保方氏に対してはやや加減をするというか、どこまでやってよいのか判断しかねているとという感じがする。
 小保方氏はSTAP細胞という何やら不思議な‘どこでもドア’のようなモノの発見が対象になっている上、理研の調査結果に対し強烈に反発して不服申し立てをする姿勢を見せているためかマスコミも腰が引けたところがあるのかもしれない。まあ佐村河内氏とはタマが違うといえばそれだけだ。


 そんな小保方氏についての週刊誌報道などは中々興味深いものが多いが、最近これに対し一部の文化人やマスコミ人種などから批判的なコメントが出ている。論文や研究の内容に関する議論をメインにせずに、小保方氏への個人攻撃に的を絞った報道は良くないというのがコメントの主なものだ。また論文についてもこうした論文を世に出してしまった理研のチェック体制の方を問うべきだと主張している。

 わたしはこうした一見良心的なコメントは好まない。それを言う人のいやらしさとか魂胆が見える気がするからだ。こうした騒動を利用して自分が良心的なヒューマニストだと主張しているように思えるのだ。しかしよく考えて欲しい。STAP細胞の本質的議論など簡単にはできないし、あるかどうかも分からないから一流の科学雑誌や学者たちも騙されたのだ。週刊誌等にそのような議論を期待するのは見当違いだろう。それよりこんな騒動を引き起こした小保方氏の人柄や経歴、私生活を報道する方が週刊誌は得意だし、それなりの意義はある。博士論文のかなりな部分をコピペしたり、博士論文に使った写真をSTAP論文に流用したのだ。普通の神経の人間ならこれがバレたらおしまいだということをやっておいて、悪びれずに単純ミスとして言抜けようとしている人間に興味を持たないとしたらそのほうがおかしい。

 一体この人はどんな性格なんだろう、どんな経歴を持っているのか、昔からこうした不正まがいのことをしてきたのか、なぜハーバードに留学できたのか、どういう経緯で理研に職を得たのか、理研の研究者をどうやって信用させたのか、どんな私生活を送っているのか等々、疑問はいろいろ浮かぶはずだ。
 ブランド品を身につけていたり、かっぽうぎを着ていたり、神戸の高級ホテルに住んでいたりすることを報じるのがいけないとは思えない。こうした疑問を突きつめていくことで、博士論文やSTAP論文の疑惑の理由や背景を説明する何かが得られることは十分にあると思う。確かに理研のチェック体制の問題はあると思うが、それだってこんな捏造(または単純ミス)は通常行われないと考えているからなので、やはり問題の根源は小保方氏であるのを忘れてはいけないのだ。こうした問題が起こると必ず現れるヒューマニストを装った人間の意見には惑わされないようにすべきだ。


 小保方氏は理研の決定に対し不服申し立てをして明日会見を行うそうだ。どんな会見になるか興味は尽きないが、STAP細胞そのものの議論は水掛け論になるような気がする。または小保方氏はその予測があるから強気に姿勢を崩していないのかもしれない。
 わたしの頭脳ではこの議論の中身など全くわからないが、STAP細胞は一つの面白い仮説で夢のような話だろうということはわかる。だからSF小説や映画なら問題がないのだが、小保方氏は実験でこの細胞を発見したと発表して世界を驚かせた。しかし論文のデータや実験の内容等に疑義が生じ、小保方氏はそうした疑問を解くような説明をせずにデータは単純ミスだと言い続けている。さらに世界中で小保方氏の方法でSTAP細胞を作ろうとしたが成功していない。とても簡単にできると言っていたのにである。出来たのは小保方氏だけで、しかし出来たという細胞もSTAPではないと共同研究者の若山氏は言っているのだ。こうなるとSTAP細胞を発見していないと考えるのが妥当だろう。

 問題は小保方氏がSTAP細胞を発見したと言い続け、それをまるで無視しないとすると小保方氏の言い分をわずかながらも認めることにつながることだ。STAP細胞などないだろうといっても、小保方氏は存在を否定するならないことを証明しろというかもしれないからだ。信頼できる専門家が論理的にないことを説明しない限り、わたしのような素人は絶対にないとは言えないかもしれないと考えてしまう。そもそもないものをないと証明するのは極めて難しい。だからこれは水掛け論になり泥沼化するリスクがある。

 小保方氏を欠陥化学者として全く無視し続ければいいのだが、彼女は何か特異な才能でそれをさせないかもしれないし、個人攻撃はいけないなどというやからが擁護し始める可能性もあるし、研究と生活を支援するスポンサーが現れないとも言えない。するとマスコミの中にはまた訳のわからない擁護論を展開するのも出てくるかもしれず事態はますます混乱する。
 いずれにしろ波乱ぶくみの展開が予想され、やはり佐村河内氏とはタマが違うと言わざるを得ない。