頑張れ日本人ゴルファー;全英オープン2013

 今年の全英オープンが今週の木曜日(7月18日)からミュアフィールドで始まる。今年の大会にはいつも以上に注目している。というのはいつも以上に日本人ゴルファーの活躍に期待しているからだ。今年は8人の日本人選手が参加するのだが、そのメンバーが現在の日本ツアーでも最強の組み合わせではないかと思えるのだ。

 全英オープンはメジャーの中でも比較的日本人が参加できるチャンスが多く、毎年多くの日本人ゴルファーがチャレンジする。その意味では他のメジャーより日本人が活躍するのではと思って中継をみるのだが、現実はそれほど甘くなく毎年一人か二人が予選を通るだけだし、なかなか上位には行けない。それでも過去には中島、青木、尾崎、倉本、丸山茂樹、谷原などが好成績を上げていて他のメジャーより期待が持てるのは事実だ。

 日本人が全英に参加するにはいくつかの方法があるのだが、結果として今年は8人が参加する。藤田、片山、谷口、久保谷、丸山大輔、井上信、松山、小平である。ゴルフファンならすぐに分かることだが、藤田、片山、谷口、久保谷はベテランで日本ゴルフ界のトップで長く活躍してきた人たちだ。丸山大輔、井上は中堅のゴルファーで特に丸山大輔は米PGAで2年か3年シードを取って活躍した実力派だ。そして松山と小平は若手の代表格でベテラン、中堅、若手の実力派がうまくミックスされている。このメンバー全員が簡単に討ち死にして予選落ちとなったら、いかにコースに慣れていないといっても日本ゴルフ界のレベルへの失望は大きいだろう。

 誰に期待するかと言ったらやはり松山英樹だ。プロ入りして2か月ほどで2勝し、全米オープンでも10位に入る活躍をした。2年前のマスターズではベストアマのタイトルを取り、大舞台に強いのが頼もしい。AONが体格的にも欧米の選手に引けを取らなかったのに比べ、その後の日本人ゴルファーはいかにも体格、パワーで劣っていた選手が続いたが、松山は体格、パワーでも外国選手に全く劣らない上に、得意なクラブはパターだそうでこの10年の日本人選手とは違うタイプだ。

 そのプレーぶりを見ても、単純に飛距離に頼るというより、飛距離をコントロールして戦うような感じがする。このあたりがドライバーのマンぶりに頼ってボールを曲げてしまい、苦戦する石川遼と違うところだ。松山のゴルフには石川にない余裕を感じる。松山が全英の過酷なコース、天候にどう対処するか興味は尽きない。

 次は小平智だ。今年ツアー選手権で初優勝した23歳の若手だがとても歯切れの良いゴルフをする。ショットそのものの安定性も高く、アマチュアのわたしにもいかにもしっかりとした練習を積み上げてきたことを感じさせるスイングだ。石川、松山の次はだれかという議論はいつもあり、池田、園田などの名前が上がっていたが、小平が来るのではないかと感じさせるものがある。アマチュア時代から海外の試合にはよく出ていたそうだから松山に負けないように期待したい。

 去年の日本ツアーの賞金王の藤田の頑張りにも期待したい。今年は故障もあって今のところ不調だが、やはり中年の星だ。実力を発揮できれば上位にも行けるかもしれない。

 石川遼が全英に参加できないのは残念だが、今米PGAで悪戦苦闘している結果なので仕方ないだろう。今週のジョン・ディアでは久しぶりに予選を通ったが優勝スコアには遠く及ばない。ショットよりもパットの不調が大きく本人も悔しい思いをしているようだ。しかしこのブログで何度も書いてきたようにこの経験は絶対生きてくるはずだ。もし石川が実力で全英に参加出来るようになり上記のメンバーに加われば楽しさもより大きくなる。全英は出なくても米PGAでの石川の健闘に期待して応援したい。

 最後に話はそれるが、今朝米LPGAでマニュライフ選手権で日本人で一人だけ決勝に残った上田桃子の試合後のインタビューを見た。上田は日本では素晴らしい成績を残したがアメリカでは思うような成績が残せず、本土での勝ち星がまだない。思うようなショットやパットが出来なくてイライラが生じるのだろうが、今まではうまくいかなかった日のインタビューでは自分に対する怒りが表情に出て、ふてくされたような印象を与えることが多かった。わたしの友人のシングルハンディの男はいつも上田の態度に文句を言っていたほどだった。しかし今朝のインタビューでは前日より大きく順位を落として終わったのだが、淡々とその日のゴルフを振り返り大人の対応ができていた。今回の結果で8月に行われる全英女子オープンへの出場が決まったことへの安堵感もあったのだろうが、成熟(mature)してきたようで見ていて好ましかった。日本のような風土(少し成功すると周りがやたらちやほやする)にいたら身につかない態度、話し方が分かってきたようで、米国で苦労している甲斐があるような気がした。石川と同じように人間的にも、ゴルファーとしても一層成長して活躍してほしいと心から思った。