東京スカイツリーへ行く

 9月7日(金)にあの東京スカイツリーに行った。大人気なのでとても混雑しているだろうと思い、3―4年たってから行こうと思っていたが、思いもよらず娘から入場券をもらい行くことになった。彼女は友達と行くはずだったのだが、都合が悪くなったので、入場券が私たちに回ってきたのである。

 第一印象はタワーとそれに付随する施設が上手く配置されていることだった。電波塔であると同時に大観光施設であるタワーの魅力度を高めることを考慮し、周りの施設を含めて入念に計画して開発したことが良く分かる。日本人のこうした大規模レジャー施設開発への経験が生かされているのを感じた。
もっとも周りの街並みは下町感いっぱいで、スカイツリータウンだけが近代的で、少し異質な雰囲気を見せている。この点では芝公園とその周辺になじんだ東京タワーの方が自然なたたずまいがある。

 第二印象はやはり混雑だ(平日でこうだから週末はもっとすごいだろう)。上りのエレベーターに乗るのに並ばなくてはならないし、350mの天望デッキからもう100m上の天望回廊に行くには切符を買うのにも長蛇の列だ。一番上まで行ってしまうと降りないわけにはいかないから、下りのエレベーターにも中々乗れない。混雑はしょうがないとはいえ、それなりの覚悟をしないと駄目だ。
 わたしたちはweb購入の前売り券だったので、指定された時間に行けばよいのだが、当日券を買う場合はそれだけで長いこと並び、それからエレベーターに並ばなくてはならない。それを考えると前売りは500円高いが時間の節約にはなり、それなりの価値はある。

 第三の印象は結構お金がかかるという点だ。入場券が2000円(前売りは2500円)で、これは天望デッキまで行けるが、その先の回廊まではさらに1000円必要だ。これだけで一人3000円(前売りなら3500円)だ。記念写真などを頼むと(これは3か所で取ることができ、後に行くほど構図が良いと感じるので、最初の写真スポットでは頼まない方が良い)1000円かかる。お腹もすくので東京ソラマチのレストラン街の店にはいろうとすると、1時半過ぎなのにどこも長蛇の列だ。唯一待ちの列がないビアレストランに入ったが、ここはビールを飲むのが基本なので、ドイツとトルコのビール(それぞれ350mm)とオムレツ、フィッシュ&チップスで4100円。

 その後、すみだ水族館を見たが、この入場料が一人2500円。これを合計すると3500円x2、1000円x2、4100円、2500円x2となり、二人の総計は18,100円である。このほかにお茶など飲んでいるので約2万円だ。中々堂々たる金額で、子供2人の家族には少なくない出費だろう。


 どうもつまらないファクトばかり並べたが、感想としては一度行く価値はあると思う。とても高いところに行けるというのはそれなりに楽しいし、上から眺める東京の景色も中々だ。生命保険会社の名前を入れた飛行船が周りを飛んでいたが、それを横や下に見るのも面白い。場所が墨田なので隅田川沿いの景色は近くに見え、浅草や上野の森は良く分かるが、東京タワーや皇居は遠くに見えるだけだし、新宿の高層ビル群はそのもっと先だ。場所柄下町に強いタワーと言える。
 西には荒川が見えて、その先は千葉である。私のように東京の住人ではないものには、東京東部の地理が分かり興味深い。今度行くとしたらまずプラネタリウムに行き、その後上から夜景を見るのが、良いかもしれない。そしてもう一度東京タワーに上りたくなった。東京の中心部を見るには、やはり東京タワーの方が優位性がありその価値は変わらない。がんばれ!東京タワー。どうも椎名誠みたいだ。


 全体的には、こうした大きな観光施設の経済効果は大きいものだと、あらためて感じた。周りの商店への経済効果は分からないが、これだけの施設が出来ただけで多くの雇用を生むし、多くの人が訪れて消費をする。ハコモノは駄目だというのが賢く進歩的な人達の信念のようだが、現実はそう単純ではないようだ。スカイツリー京成電鉄のグループが開発したから、近年憎悪の対象になっている公共投資ではないが、ハコモノには違いない。要するにどんな投資をするかが重要なので、単純にハコモノはダメと言っているようでは、需要創出など出来ないのだと思う。

 企業の投資は一定の期間で回収しなければ、企業の存続が危うくなってしまうが、公共投資の是非はそれほど簡単ではないと思う。その時は無駄に思えた投資が、十年、二十年後に有効になることはあると思う。企業では出来ないところを国がやるのだから、あまりに短期的な視点だけで判断するのはどうかと思う。政治家は選挙に勝つために、有権者に効果的なアピールをするためにハコモノは無駄だと言い、マスメディアも批判精神なしに大衆迎合するから、そうした単純な悪玉論が主流となるが、短期的視点だけではなく、長期的な観点も含めて、有効な金の使い方を、特にマスメディアは議論して欲しい。東京スカイツリーの賑わいはそんなことを考えさせてくれた。