コロナ問題から見える政治家の本質

 東京都を中心にまたコロナ感染者の発見数が急増している。元々感染者がどれだけいるのか分からないと専門家も言っていたのだから、検査数が増えれば感染者数も増えるのは分からないではない。しかしこれだけ多くの感染者が確認され、その大半が無症状、無自覚だとすると、現状の行動状況が続けば飛躍的に感染者が増えるリスクは否定しがたい。これまでコロナ感染拡大を日本はうまく抑えてきたと胸を張っていた安倍総理や、国民の民度が高いなどと根拠のない発言をした麻生副総理は、この状況をどうとらえ何をしようと考えているのだろうか。

 

 コロナ問題に対する政治家の発言や対処をみていると、2つのタイプがあるように見える。1つはコロナの脅威を正面からとらえ、その被害を最小にするにはどうすべきかを考え行動してきた人たちだ。大阪の吉村知事や北海道の鈴木知事が支持されるのは、彼らが府民、道民の安全を図るために真摯に取り組んできた姿勢が評価されているのだと思う。

 

 それに対してコロナ対策に真剣に取り組む姿勢を見せているが、本質はこの問題を通して自分の政治的評価を上げようと考えている人たちだ。彼らにとって人々の安全や健康はキャッチフレーズに過ぎず、自分の人気を高めることが一番の関心事のようだ。小池東京知事は3月から4月はその発信力を使いコロナ問題に積極的に有効な手を打つ政治家を演出し成功してきたが、最近の感染者急増に対しては何ら有効な手を打たないどころか、現状改善に対して納得のいく説明すらしていない。今ほど事態が深刻ではない時に東京アラートを発動し、その後すぐにそれを取り下げたりした後に、再び急増した感染者問題には触れたくないという感じが明白だ。この問題に真剣に取り組んでも解決の糸口はつかめそうもないし、自分の政治的評価を高めることにはつながらないと興味を失っているようだ。

 今思えば小池氏は初めの頃からコロナへの熱心な姿勢を訴えて都知事選に圧勝しようと狙っていたような気がする。テレビでの広報宣伝に自ら頻繁に出演したりして都民へアピールしていた。国を挙げての活動自粛が上手くいき感染者の発見数が減少しているうちはコロナ対策にやる気満々だったが、最近の状況にはまるで熱意を失っている。都知事選が目前だからこの問題に触れないわけにはいかないので、訳わからない言葉を弄して切り抜けようとしている。都民の安全や健康を考えたら今こそ全力を尽くして対策を考えそれを訴えるべきなのにそんな気はないようだ。神奈川、千葉の知事については語るのも無駄だ。いなくても問題ない存在のようだ。まだ埼玉の知事は自分の言葉で何かを発信しようとしているだけ良い。

 地方政治家だけでなく国会議員も同じというかもっとひどいように感じる。総理、副総理だけでなく各大臣もここで露出が増えたのでやる気と力を見せようとしている。国民の安全より自分の人気上昇にコロナ問題を利用しようという姿勢が見え見えだ。

 

 もっともこうした状況は日本だけではなく世界でほぼで共通だ。米中露などの大国の指導者は特にひどい。彼らが本当に国民の安全や健康を願っているとはとても思えない。コロナの薬がない以上一定層は死んでもよいと考えている節がある。一定層とは貧しい人たちや特定の人種だ。コロナが本当にすごいのはこうした哲学なきリーダーたちが権力を握っている時に出現したことだ。被害が大きくなるのは明らかだから。都知事選は目前だし、米国大統領選も秋にある。どんな結果になるのだろうか。また日本での衆議院解散総選挙が秋にもあるという話が出始めた。そこにあるのは国民の安全、健康への心配ではなく、自分たちの政治的地位の確保だ。いかにもコロナを政治的利用をしようとする議員らしい発想だ。