コロナ自粛解除後の社会

 コロナによる自粛がおおむね解除され徐々にではあるが活動が戻り始めている。コロナウィルスに対するワクチンや治療薬が開発されていない状況では、第二波を気にしながらの活動なのでまだまだ回復の道は遠い。それでも道を歩み始めたことの意義は大きいだろう。

 

 活動再開の方法を見ると、元のやり方に戻る、新しいやり方を続ける、過渡的なやり方を選ぶといった3つの方法があるようだ。仕事でいえばほとんどの社員がオフィスに集まって業務を行う、基本的に全員がテレワークを続ける、 その中間的な形態(これはほとんどの社員がオフィスに戻って仕事をするまでの過渡的な方法)をとるという感じだ。企業は職種も規模も多様だから、この3つの形態がともに存在することになるが、プロスポーツ等は過渡的方法をとるしかない。野球もサッカーも開幕が決まったが当分は無観客試合だ。3密からは遠そうなゴルフでも無観客で始める。これらのスポーツは観客の声援が好プレーを呼ぶことがあるので、盛り上がりをには欠けるだろうが、実施できることが肝心なのでやむをえないところだ。観客の前で試合をできるまでの間を凌ぐ方法だ。

 

 コロナでテレワークやオンライン授業が現実になりそのメリットを多くの人が感じ始めた今こそ、わたしはいろんな分野でやり方を抜本的に考えてみるチャンスなのではないかと思う。前記の3つ方法のほかに、本来あるべきやり方を考えてそこに向かうことを模索する時だと感じている。単に元のやり方に戻るのがいいわけではないだろう。元のやり方はみんなが慣れているからとりあえず効率がいいのは事実だが、他にもっといいやり方、本来あるべき姿を実現するやり方があるのではないかと考えるべきだ。企業にとっては、テレワークを推進することで通勤がなくなり従業員の心身の健康やモチベーションが高まる効果があるかもしれないし、都心の一等地に高い家賃を払ってオフィスを構えることが本当に有効かどうか疑問が生じる。テレワークひとつとっても評価すべき事柄が多数あるのだから、今後の働き方を考える時に今までの常識を捨ててどうすれば総合的に最も良い選択になるか考えるチャンスだ。

 

 スポーツでもプロだけではなくアマチュアのスポーツの在り方を考えるチャンスになる。安倍総理は完全な形でのオリンピックをやると何度も口にしてきたが、コロナの完全な終息など難しいことが分かってくると簡素な大会へと方向を変えつつあるようだ。しかしオリンピックを中止しないために簡素な大会を選択するのではなく、本来オリンピックはどうあるべきかという議論をすべきだ時だと思う。商業主義に毒され選手の健康や意向を無視して酷暑の季節に実施をするのが良いのかどうかを含めて本来の姿を考えるべきだ。高校野球のありかたも考える良いタイミングだ。本来高校生の体に負担のあるやり方などは批判すべきはずなのに主催する新聞社はそれに目をつむり、このイベントに群がる大人たちと手をくんで金儲けをもくろむのはいい加減にすべきだ。本当に高校生のためになり今後も長く続けられる新しいやり方を作るべきだと思う。

 

 わたしのような退職者だって変化を模索する。好きなゴルフはもう2か月以上していないが、ゴルフ場からの知らせだとスループレーが主流になっているようだ。以前はハーフラウンドを終わり昼食をするのが普通だったが、これを18ホール続けてプレーすることに変える。もっとも海外ではこれが普通で間に昼飯を食べるほうが例外だったのだ。だからこれは歓迎すべき変化だ。しかし平日は客も少ないためかレストランを閉鎖しているケースが多い。これでは顧客志向とは言えないし、せめてハーフを終わった時にクラブハウスでサンドイッチやおにぎりを売るくらいはすべきだろう。暑い中で食事もしないでプレーを続けるのは健康にもよくない。海外では若い子がカートに乗ってサンドイッチや飲み物を売りに来てくれる。これでもいいと思う。せっかく新しいことを始めても顧客に対する配慮がなければ意味がない。もしかしたら一定の期間後には昔のやり方に戻そうとしているのかもしれないが、今こそゴルフはどうあるべきかを考えてベストな選択をしないと日本のゴルフの衰退は避けられない。

 わたしたちシニアの楽しみの一つは旅行だ。飛行機に乗っての遠出はまだリスクが高いが近場の温泉やリゾートに行くのは再開したい活動だ。これに関してわたしが以前から改善できないかと思っているのは和風旅館の食事だ。たいてい1泊2食での設定だが、年を取るとあまり食欲はないし、全員決まったメニューも芸がない。旅館のほうは効率を考えるのだろうが、ある程度の値段をとるならばもう少し柔軟性を持つべきだろうと思う。もしくは素泊まりで外に食べに行く選択もありにすべきだ。

 またリゾートホテルについては朝食がどうにかならないかと思う。ほとんどの場合バイキングでも2500円くらいはとるし、バイキングでも70歳が食べるのは少量だ。だから泊まってゴルフに行くときなどはたいていゴルフ場で朝食を食べることになる。量も多すぎないし1000円もしない。ホテルでもせめて1200円くらいで提供されるものがあればいいのだが。こうした変化は顧客に支持されるはずだし、長い目で見て旅館やホテルのためになるはずだと思うのだが、目の前の利益の減少に気を取られるせいか中々実現しない。今がチャンスなのが分かっていないのだろうか。