コロナ対策;今の政府を企業に例えると

 安倍内閣のコロナ対策でもっともお粗末だったのは、首相の緊急事態宣言の後に東京都が事業者に活動自粛の要請を出そうとしたのに対しストップをかけたことだ。一刻の猶予も許されないから総理大臣が緊急事態宣言を出したはずなのに、外出自粛の効果を見るという理由で事業活動自粛にストップをかけた。自分で言っておいてそれを否定するという通常の神経では考えられないことをこの政府はやる。この政治家たちにこの国を任せていいのかを国民は真剣に考えなくてはいけない時だと思う。政府に比べると地方自治体の長には頑張っている人たちがいる。(でくの坊も沢山いるが) 現場は目の前の問題に待ったなしの状況に置かれているからだ。知事たちは国会議員や中央官庁の役人と危機意識が違うと感じる。

 

 政府のお粗末さを見ていると、これを企業に置き換えてみたら分かりやすいのではと感じた。この巨大会社の特徴は本部の社員の多くが縁故入社だということだ。2世、3世が当たり前で特に中枢の幹部になるのは、元幹部の子弟でないと極めて難しい。こうした幹部は大きな苦労もなく入社し、現場も知らずに本部で昇進するのでいろんな政策をやろうにも、その実行可能性が分かっていないので的外れの政策を打ち出す。上手くいかないと実際に政策の中身を作ったスッタフに責任を転嫁する。

 

 このスタッフは特に縁故入社ではなく、有名大学を出て高い志を持って入社する人も多いのだが、入社後本部の幹部たちの言うことを聞かないと出世ができないことを知り、幹部の意見を丸呑みして(それが間違っていようと)政策を作るようになる。もっともこれらのスタッフも現場に精通しているわけではなく、東京の本部で上から目線で対策を考え現場に指令を出している。だから正確に問題を見極めた策を作っていないことも多い。

 

 現場の長や職員たちはこうした本部とやりとりをしながら問題に対処してゆく。しかし上述のように必ずしも適切な指示ばかりではないから、現場は実行において自らの判断を加える。本部は少し予算をつけるとあとは君らがうまくやってくれというスタンスだ。もっとも現場を知らない彼らはどうやったらいいのかわからないのだ。上手く問題解決ができると本部の幹部たちは自分たちの手柄にするし、上手くいかないとスタッフだけでなく現場の長の責任にする。本部の幹部たちはこの辺りの感覚は極めて鋭い。そんな彼らが恐れるのが、現場の長が手柄を上げて顧客や株主の評判を得ることだ。これにより顧客と株主から本部の幹部に地方の長を任命すべきという声が上がるのを最も警戒する。だから評判の良い現場の長が行おうとする作戦を、それが正当でも妨害することさえある。彼らの頭にあるのは顧客や株主の利益ではなく、自分の地位を守ることなのだ。

 

 本部の幹部たちは自分たちがいかに上手くやっているかをアピールするために、いろんなメッセージを発する。しかし大半が抽象的な美辞麗句で具体性が乏しい。実際何をどうしたいのかを明確に述べることはない。テレビなどに出るのも好きで有名人とコラボしようとしてyoutubeを使ったりするが、まともな人たちからは相手にされない。自分たちは常に正しいと言い張り、自分の反対勢力を子供のように罵る。間違えを認めず責任を取らない。

 

 似たような大企業が実際存在するが、そうした企業は大体倒産しそうになる。大企業は中々潰さないからどうにか生き残るが回復は簡単ではない。あんな大企業がと思うが駄目になるとあっという間に転落するのだ。上述した仮想企業はどうだろうか。

このままでは近い将来倒産寸前まで行ってしまうのではないか。顧客であり、株主であるわたしたちが声を上げるときだと思う。危機の時こそ誰が有能でだれが無能かよく分かる。次の選挙では任せることのできる人かその人が支持する人を選ぼう。わたしたちはこの巨大会社の顧客であり、株主なのだから。