Tポイント・レディスのライブ放送

 Tポイント・レディス ゴルフトーナメントが先週末に佐賀県で行われた。6ホールに及ぶプレーオフを乗り切って勝利したのは飯島茜プレーオフの相手は全美貞(ジョン・ミジョン)だった。プレーオフだけでなく本戦も全くの混戦でとても面白い試合だったのだが、見ているほうにとってもう一つ良かったのは、この試合がライブで放送されたことである。

 スカイABS朝日テレビ朝日で予選の主要なところと決勝ラウンドのほとんどすべてが生で放送された。ほとんどすべてというのはプレーオフの途中でBS朝日の放送が打ち切られたからであり、ここまでやったのだからTVで最後までやるべきだったと思う。朝日放送プレーオフになるとは、そしてこんなに長いプレーオフになるとは予想していなかったのだろう。しかしTVが終わっても、インターネットで中継が見れたのでプレーオフが決着するところまでライブで楽しめたのだ。こんなに緊迫した試合はめったにないので、ライブで見ることができたのはとても
素晴らしいことだった。わたしは体調が良くなかったので家でゴロゴロしていたのだが、ほぼ一日中このゴルフ中継を見ていた。

 試合はO・サタヤが6アンダーで2位と3打差をつけてスタートしたが、前半でスコアを乱しアウトが終わる時には3打差以内に10人以上がひしめくという混戦になった。全く誰が勝つかわからない試合経過でライブ中継の強みが十分に発揮された。上位が伸び悩む試合にありがちなことだが、この日も10位以下でスタートした全美貞が67をマークしてトップになり上位グループより45分ほど早く上がったので、後の選手はこれを追うという展開になったが中々追いつかない。最終組の飯島茜が最終ホールでやっとバーディを取り追いついてプレーオフになった。

 プレーオフの戦いも見応えがあったが、何より本戦の最終ホールでの飯島の3打目が素晴らしかった。110ヤードちょっとだと思うがピッチングウェッジで軽くカット目に打った。弱いかなと思ったがこれがピンの下1.5mくらいについてバーディを取った。冬のあいだにタイで合宿して1日7-8時間打ちつづけたと放送で紹介されていたが、それが嘘ではないと思わせるような、八分目位の力で打ちながらもしっかりと正しい距離を刻んだ見事なショットだった。 

 わたしのようなゴルフフリークはほとんどのゴルフ中継を見る。米国の男子・女子、ヨーロッパツアーなどだが、これらはゴルフチャンネル、WOWWOW、NHKBSでほとんどすべての試合をライブで見ることができる。そうした放送の後に国内ツアーを見るとまるで迫力がない。もちろん選手の技術レベルの問題もあるが、それよりも国内のゴルフの中継はライブではなく録画したものを編集しているからだ。(NHKが放送する日本オープンや日本女子オープンは完全に生中継でこれは例外だ)

 日曜の夕方にTVで試合を見るときはもうインターネットで結果が分かっているし、中にはTV中継を面白くしようとしてインターネットでの速報をやめさせるケースもあるが、これはこれでとても腹立たしく感じる。姑息なことをしないでライブでやれと言いたくなるのだ。生中継をするNHKについては、企業スポンサーがいないから時間にとらわれずにゴルフもライブで放送できるのだと言い訳するのだろうが、要はやる気の問題だろう。今回のTポイント・レディースのように地上波とBS、それにCSとインターネットを組み合わせれば出来るはずだからだ。NHKが放送するオープン選手権はやはりとても見ごたえがある。

 松山と石川が米国PGAで戦っているせいで日本の男子ツアーは人気低迷が続き、試合数も女子に比べてずっと少ない。だから生中継をする価値がないと言っていたら人気は落ちるばかりだろう。男子ツアーについてもできるだけライブ放送にすべきだと思う。全部が無理なら有力な試合だけでもいい。人気回復が叫ばれて久しいのに有効な手が打てていないのだから、ライブ中継をすればいいと思う。ゴルフの面白さがもっと伝わるはずだ。すぐに効果は上がらなくても、良い試合が続けば徐々に人気が出てくるはずだ。ゴルフ協会の幹部は本気でスポンサーとテレビ局を説得してこれを実現すべきではないのか。彼らを見ていると従来のスポンサーの機嫌をとって契約を維持することでいっぱいな感じだ。それでは人気回復などできないだろう。